守田道隆

守田道隆：八幡市の復興と民生に尽くした初代公選市長

守田道隆（もりた みちたか、1898年7月3日 - 1970年11月26日）は、福岡県八幡市（現北九州市八幡東区）の初代公選市長として、その名を歴史に刻みました。八幡製鐵所の職員という経歴を持ちながら、戦後の荒廃からの復興、都市計画、教育、医療、文化の振興に大きく貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

鳥取県鳥取市で生まれた守田は、第五高等学校を経て京都帝国大学工学部土木科を卒業。東京市吏員としてキャリアをスタートさせました。1929年、八幡市長の図師兼弐に招聘され、八幡市土木課長に就任。製鉄事業の副産物であるセメントを活用し、小学校の校舎を鉄筋コンクリート造に改築するなど、早くからその手腕を発揮しました。また、黒崎駅前の区画整理事業にも携わるなど、都市基盤整備に貢献しました。

その後、長野県道路課長を経て、1942年に日本製鐵に入社。土木部長、工務部長を歴任し、技術者としての経験を積みました。

八幡市長として

1947年、守田は公選初代の八幡市長に選出され、3期12年の長きにわたりその任を務めました。市長在任中、特に力を注いだのは、戦災で甚大な被害を受けた八幡市の復興です。八幡駅の移設と周辺の区画整理を中心とした都市計画を推進し、市民生活の基盤を再構築しました。

また、教育面では、幼稚園に地区公民館を併設する「八幡方式」を考案し、地域コミュニティの活性化に貢献しました。これは、公民館を地域の交流拠点として活用し、住民の学習機会の提供や地域活動の促進を図るもので、全国的にも注目されました。

医療面では、八幡市立診療所を市立病院（現北九州市立八幡病院）へと拡充し、地域医療の充実を図りました。さらに、八幡美術工芸館（現北九州市立美術館）を開館するなど、文化振興にも尽力しました。製鉄城下町として知られた八幡市において、民生面の充実を図った守田の功績は大きいと言えるでしょう。

公民館活動への貢献

守田は、全国公民館連合会長、九州公民館連合会長、福岡県公民館連合会長などを歴任し、公民館活動の推進にも大きく貢献しました。地域社会の発展における公民館の役割を深く理解し、その活動を支援しました。

守田道隆は、八幡市の復興と市民生活の向上に生涯を捧げた人物として、今もなお多くの人々に記憶されています。

参考資料

『福岡県百科事典』下巻、西日本新聞社、1982年。
橋田光太郎, 「八幡の戦災復興と守田道隆」『日本地理学会発表要旨集』 2015年度日本地理学会春季学術大会

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