安井春知

安井春知（やすい しゅんち）は、承応2年（1653年）に紀州で生まれ、元禄2年3月27日（1689年5月16日）に37歳で没した江戸時代の囲碁棋士です。安井家二世安井算知の弟、または実子とも言われています。

棋士としては上手（七段）の腕前を持ち、御城碁には7局出仕しました。『御城碁譜』などの記録には、算知の弟、または実子と記されており、安井家の過去帳には「一度算知養子となる」という記述があります。21歳で部屋住みとなり、家督は継ぎませんでした。

延宝2年（1674年）に御城碁に初出仕し、井上道砂因碩に先番で1目負けを喫しました。御城碁に出仕したのは、安井家の跡目候補とされていたためという推測もあります。延宝6年（1678年）には、本因坊道策の碁所就任時に、算哲、知哲と並んで上手（七段）並の手合と評価されました。

天和3年（1683年）の御城碁での道策との二子局で1目勝ちを収めた碁は、道策の生涯における傑作として知られています。道策自身も春知について、「春知は当代の逸物にして古人に恥ぢず、また古来も稀なるべし。而してこの対局に於いて春知の手談毎着妙ならざるはなし。」と高く評価しています。また、本因坊道的が御城碁で唯一敗北したのも、貞享3年（1686年）の春知との対局（春知先番）でした。

御城碁成績

延宝2年（1674年） 白番1目負 井上道砂因碩
延宝7年（1679年） 白番3目負 井上道砂因碩
天和2年（1682年） 先番7目勝 井上道砂因碩
天和3年（1683年） 二子1目勝 本因坊道策
貞享元年（1684年） 白番7目負 本因坊道的
貞享2年（1685年） 先番3目負 本因坊道的
貞享3年（1686年） 先番5目勝 本因坊道的

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年
林元美著・林裕校注『爛柯堂棋話』平凡社 1978年

外部リンク

木石庵「安井春知」
* 奇譜子「安井春知」

早世した安井春知ですが、その才能は高く評価され、囲碁史に名を残しています。

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