安井義博

安井義博（やすい よしひろ）氏は、1938年10月8日に、ブラザー工業創業者の安井正義氏の弟である安井実一氏の長男として、名古屋市に生まれました。実一氏はブラザー工業の副社長を務めた人物であり、義博氏はまさに創業家の一員として生を受けました。

1961年3月に慶應義塾大学工学部を卒業後、翌年4月には日本ミシン製造（現・ブラザー工業）に入社し、社会人としてのキャリアをスタートさせました。入社から2年後の1963年からは、マサチューセッツ工科大学へ留学し、最先端の技術や知識を習得しました。この留学経験は、後のブラザー工業における技術開発の推進に大きく貢献したと考えられます。

帰国後、安井氏は開発部長（1974年）、常務取締役（1979年）、専務取締役（1983年）と、着実にキャリアを積み重ねていきました。そして、1989年には社長に就任し、ブラザー工業の経営を担うこととなります。社長就任後は、グローバルな視点での事業展開や、多角的な事業戦略を推進し、ブラザー工業の発展に大きく貢献しました。

2003年には代表取締役会長、2007年には取締役会長となり、経営トップとしてブラザー工業を牽引しました。その後、2009年からは相談役として、長年の経験と知識を活かし、ブラザー工業のさらなる発展をサポートしています。

安井氏の功績は、その経営手腕だけでなく、数々の受章歴からも明らかです。1997年には藍綬褒章、2008年には旭日中綬章を受章し、その功績が広く社会的に認められました。さらに、2010年には経済産業大臣表彰を受賞するなど、産業界への貢献も顕著です。

また、安井氏は、一般社団法人日本縫製機械工業会の副会長や元名古屋商工会議所副会頭などの要職も歴任し、業界の発展にも尽力しました。東邦ガスの社外監査役としても、企業の健全な運営に貢献しています。

安井氏は、著書『ブラザーの再生と進化-価値創造へのあくなき挑戦』（2003年、生産性出版）を執筆しており、その経営哲学やブラザー工業の歴史について学ぶことができます。

安井義博氏は、技術開発から経営まで幅広い分野で手腕を発揮し、ブラザー工業の発展に大きく貢献した実業家であり、その功績は後世に語り継がれることでしょう。

略歴

1938年10月8日：名古屋市に生まれる。
1961年3月：慶應義塾大学工学部卒業
1962年4月：日本ミシン製造（現・ブラザー工業）入社
1963年～1964年：マサチューセッツ工科大学留学
1974年：開発部長
1979年：常務取締役
1983年：専務取締役
1989年：社長就任
2003年：代表取締役会長
2007年：取締役会長
2009年：相談役
1997年：藍綬褒章受章
2008年：旭日中綬章受章
2010年：経済産業大臣表彰受賞

主な著書

『ブラザーの再生と進化-価値創造へのあくなき挑戦』（2003年、生産性出版）ISBN 4820117742

関連項目

慶應義塾大学の人物一覧

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