安川寿之輔

安川 寿之輔について

安川寿之輔（やすかわじゅのすけ）は、1935年に兵庫県で生まれた日本の市民運動家であり、社会思想史の研究者です。彼の研究は、近代日本社会、特に教育の思想史に重きを置いています。名古屋大学の名誉教授である安川氏は、不戦兵士・市民の会の副代表理事や日本戦没学生記念会の元事務局長としても知られています。また、イラク派兵違憲訴訟の原告としても活動し、韓日平和100年市民ネットの共同代表を務めています。

経歴

安川氏は1954年に福岡県立福岡高等学校を卒業し、1964年に名古屋大学大学院教育学研究科の博士課程を修了しました。彼は以後、宮城教育大学、埼玉大学教育学部、および名古屋大学で教育に関連するさまざまな役職を歴任しました。1998年に定年退職した後は、活動の中心を市民運動へと移しました。

安川・平山論争

2001年には、安川氏が執筆した「福沢諭吉 アジア蔑視広めた思想家」という論説が朝日新聞に掲載され、平山洋氏からの反論を受けて「安川・平山論争」が始まりました。この論争は福沢諭吉をどのように評価するかを巡るもので、特に福沢のアジアに対する見解についての意見が交わされました。

福澤諭吉協会との関係

同年、安川氏は福澤諭吉協会への入会を希望しましたが、入会申し込みは理事会の未承認により拒否されました。この経緯は、福沢に対する研究者としての立場を考えさせる一因となりました。

丸山諭吉神話説

法政大学の飯田泰三教授の提唱する「丸山諭吉」という概念は、福沢諭吉の思想において市民的自由主義者との関連性を示すもので、平山氏はこれを指摘しました。一方、安川氏は福沢を侵略的絶対主義者として位置づけ、その解釈が広く受け入れられていることに異を唱えました。この論争は、福沢の解釈における多様性を浮き彫りにしました。

『東日流外三郡誌』起源説

福沢の思想に関連して、安川氏は「天は人の上に人を造らず…」という福沢の文章が、アメリカ独立宣言に影響を受けたのではなく、むしろ『東日流外三郡誌』からの盗用であると主張しています。これは福沢のアジア蔑視の見解と矛盾するため、重要な議論を呼び起こしました。

講演活動と著作

安川氏は国内外の大学で福沢諭吉を批判する講演を行い、特に2003年以降は中国でも講演を行っています。彼の著作には『福沢諭吉のアジア認識』『福沢諭吉と丸山眞男』などがあり、近代日本の歴史や教育に関する評価が中心となっています。また、彼は時折雑誌に記事を寄稿し、歴史に関する議論を続けています。

まとめ

安川寿之輔氏は、日本における福沢諭吉の再評価や教育思想の探求において重要な役割を果たしてきた研究者です。彼の研究は複雑な近代日本社会の理解を深めるうえで貴重な知見を提供しており、今後の市民運動への影響も期待されています。

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