安房森林軌道

安房森林軌道：屋久島を走る現役の森林鉄道

安房森林軌道は、鹿児島県屋久島町に位置する、日本で唯一現役で稼働している森林鉄道です。通称「安房森林鉄道」「屋久島森林鉄道」とも呼ばれています。

歴史と概況

元々は、熊本営林局下屋久営林署の管轄でしたが、1969年に運行を終了しました。その後、2007年時点では、荒川分岐点を境に、安房 - 荒川間が屋久島電工株式会社の区間、荒川から先が屋久島森林管理署の区間となっています。

屋久島電工区間: 安房 - 荒川間は、屋久島電工に払い下げられ、発電所の維持管理に使用されています。
屋久島森林管理署（愛林）区間: 荒川から先は、有限会社愛林に運行委託されており、登山道にあるトイレなどの維持管理に必要な物資の輸送や、屋久杉の土埋木、昔の切り株などの運搬に活用されています。

屋久杉の伐採は原則として禁止されていますが、土埋木や昔の切り株は、民芸品、家具、建材としての利用が認められています。

また、軌道が登山道の一部となっているため、体調不良などで自力下山が困難な観光客の搬送にも活用されることがあります。

2007年7月には、台風4号による軌道の損傷被害が発生しました。2014年7月には、森林鉄道を観光に活用することを目指す「NPO法人屋久島森林トロッコ」が結成されました。

路線データ（2007年時点）

屋久島電工区間

軌間: 762 mm
動力: 内燃（ガソリン）
区間: 苗畑 - 荒川分岐点 11.2 km

屋久島森林管理署（愛林）区間

軌間: 762 mm
動力: 内燃（ガソリン）
区間: 7.1 km

熊本営林局下屋久営林署時代

軌間: 762 mm
動力: 内燃（ガソリン）
本線: 安房（貯木所） - 苗畑 - 荒川分岐点 - 小杉谷 26.1 km
小杉谷線（安房96支線）: 6.1 km
石塚線: 10.2 km
栗生線: 5.5 km
安房76支線: 5.0 km
安房95支線: 2.9 km など

注: 屋久島電工区間は、本線の苗畑 - 荒川分岐点11.2 kmに該当します。
注: 屋久島森林管理署（愛林）区間は、本線の荒川分岐点 - 小杉谷のうち7.1 km、および小杉谷線（安房96支線）の6.1 km、石塚線10.2 kmに該当します。ただし、2007年現在運行されている区間は、本線のうち4.5 km、小杉谷線（安房96支線）の2.6 kmです。

歴史

1923年（大正12年）：安房 - 小杉谷間が開通。
1969年（昭和44年）5月：熊本営林局下屋久営林署による運行終了。この時点で残存していた路線は、本線、小杉谷線、石塚線、安房95支線。
1970年（昭和45年）8月：小杉谷事業所が閉鎖され、屋久島森林管理署による維持管理に変更。
1971年（昭和46年）：安房95支線が廃止。
1975年（昭和50年）：本線の安房 - 苗畑間を廃止。苗畑 - 荒川分岐点を屋久島電工に払い下げ。
1980年（昭和55年）：本線の一部、8.3 kmを作業道化。
1994年（平成6年）：小杉谷線の一部、3.5 kmを廃止。

注: 石塚線は、路盤流出などで休止中です。
注: 作業道には線路が残っており、登山道としても利用されています。

その他

屋久島電工区間: 不定期ながらほぼ毎日運行されています。ただし、敷地内は保安上の理由で立ち入り禁止です。
屋久島森林管理署（愛林）区間: 冬季を中心に不定期運行。主に上流域に設置された登山者用トイレの屎尿回収業務に使用されています。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

（脚注は省略）

関連項目

屋久島

外部リンク

NPO法人屋久島森林トロッコ
中村和也 (2009年1月). “新たな使命を担い走り続ける「安房森林軌道」” (PDF). 建設コンサルタンツ協会. 2021年4月20日閲覧。

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