安東聖秀

安東聖秀（あんどう せいしゅう/しょうしゅう）

安東聖秀は、生年不詳ながら鎌倉時代末期に活躍した武士で、北条氏得宗家に仕える御内人でした。通称を左衛門入道と称し、新田義貞の妻の伯父にあたる人物です。

生涯

正中元年（1324年）の正中の変では、捕縛され鎌倉へ連行された日野資朝・日野俊基の尋問を担当しました。元弘3年/正慶2年（1333年）には、新田義貞率いる軍勢が鎌倉へ侵攻。安東聖秀は幕府方として迎え撃ちましたが、鎌倉の戦いで敗北を喫しました。

『太平記』巻十には「安東入道自害の事 付漢王陵が事」という章段があり、彼の最期が詳細に描かれています。それによれば、姪からの降伏勧告を拒絶し、自害を遂げたとのことです。

安東入道自害の事

『太平記』によると、安東聖秀は3000余騎を率いて稲瀬川を守備していましたが、稲村ヶ崎から迂回してきた新田軍（世良田満義、または世良田太郎が率いていたとされています）との戦いで、100余騎まで兵を失い、自身も多数の傷を負って自邸へ退却しました。しかし、自邸はすでに焼け落ち、妻子も行方不明となっていました。

その時、北条高時の屋形（現在の宝戒寺付近にあったとされています）も焼失し、高時らは東勝寺へ避難したと聞きます。しかし、高時の屋形跡には、高時のために切腹したり討ち死にした者がいないと伝えられます。これを聞いた聖秀は、高時屋形の焼け跡で自害し、鎌倉殿の恥をすすごうと決意しました。100余騎を率いて小町口へと向かいます。

焼け落ちた高時屋敷に到着した聖秀のもとに、姪である義貞室からの使者が降伏を勧める文を届けます。聖秀は、姪に武士の妻としての心得がないこと、そしてその夫である義貞も武士の道を知らないと激怒します。降伏勧告が姪から出たものであれば義貞が止めるべきであり、義貞から出たものであれば姪が止めるべきであると憤慨しました。そして、使者の目の前で文を刀で突き刺し自刃したと伝えられます。

この時、聖秀は楚漢戦争で劉邦に仕えた王陵の故事を引き合いに出したと語られています。王陵の籠る城を攻めあぐねた項羽は、王陵の母を捕らえ降伏させようとしました。しかし、王陵の母は、息子が自分を理由に開城することを予期し、「子孫のために」と自害しました。安東聖秀の自害は、この王陵の母の故事に倣ったものだと解釈されています。

脚注

注釈:

出典:

参考文献:
『太平記』（巻十 安東入道自害事付漢王陵事）

関連項目

鎌倉の戦い
東勝寺合戦

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