安藤万寿男

安藤万寿男（あんどう ますお）

安藤万寿男は、1915年10月14日に岐阜県安八郡森部で生まれ、2003年3月31日に亡くなった日本の著名な地理学者です。彼の研究は、特に輪中（わじゅう）と呼ばれる独特の地形・治水システムに関するものが広く知られています。

学歴と職歴

1939年に東京高等師範学校を卒業後、安藤万寿男は名城大学法商学部で助教授として教鞭を執り始め、1954年には教授に昇進しました。その後、1960年に愛知大学に移籍し、教授として活躍しました。1962年には、「日本の果樹栽培に関する経済地域論的研究」というテーマで名古屋大学から経済学博士の学位を授与されました。

1975年には、愛知大学法経学部長に就任し、1986年に定年退職するまで、大学の教育・研究活動に尽力しました。退職後、名誉教授の称号を授与されました。また、1985年からは東海産業短期大学（現在の愛知産業大学短期大学）の学長を、1992年からは愛知産業大学の学長を務めるなど、教育者としても大きな足跡を残しました。

学外活動としては、1966年に中部地方産業研究所長を兼務し、地域産業の発展にも貢献しました。

研究内容

安藤万寿男の研究は、特に日本の地理、特に輪中の研究に焦点を当てています。輪中とは、河川の氾濫を防ぐために堤防で囲まれた地域のことで、彼の研究は、この輪中の形成、歴史、経済的・社会的影響について詳細に分析しています。彼の研究は、地理学、経済学、歴史学など多岐にわたる分野に影響を与え、学術的に高く評価されています。

著書

安藤万寿男は、多くの著書や論文を発表しています。

単著

『岐阜県新誌』（日本書院、1950年）
『日本の果樹』（古今書院、1963年）
『輪中 その形成と推移』（大明堂、1988年）

共編著

伊藤郷平ほか共編『日本地誌ゼミナール 第5 東海地方』（大明堂、1963年）
安藤万寿男・国松久弥・西岡久雄共著『経済地理学』（明玄書房、1965年）
（編著）『輪中 その展開と構造』（古今書院、1975年）
安藤万寿男・伊藤達雄共編『現代地理学概論』（大明堂、1983年）
安藤万寿男・山鹿誠次共著『イギリスとアメリカ 新訂』（大明堂、1994年）
安藤万寿男・伊藤喜栄共編『現代世界の地域システム』（大明堂、1996年）

主要な論文

「江戸時代輪中地域の人口」（『地理学評論』1950年）
「丘陵地における新しい果樹専業地域」（『人文地理』1958-1959年）
「輪中に関する二、三の考察(2)」（『水利科学』1977年）
「木曽三川低地部 (輪中地域) の人々の生活」（『地学雑誌』1988年）
「輪中堤と水屋建築」（『建築雑誌』1990年）
「天正14年以前の木曽川中流部の流路」（『愛知大学綜合郷土研究所紀要』1995年）
「尾張藩の治水行政と水害対策」（『愛知大学綜合郷土研究所紀要』1998年）
* 「美濃平野低地部における輪中形成の時期とその築造者」（『岐阜史学』2001年）


これらの著書や論文は、安藤万寿男の研究業績を体系的に示すものであり、地理学、経済学、地域研究など、幅広い分野の研究者にとって重要な資料となっています。

安藤万寿男は、その生涯を通じて、教育者として、また研究者として、社会に多大な貢献をしました。彼の功績は、今後も長く語り継がれるでしょう。

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