安達潮花

安達 潮花について

安達 潮花（あだち ちょうか、1887年12月11日 - 1969年6月5日）は、日本の華道界における重要な人物であり、いけばな近代化の先駆者として広く認識されています。彼女は広島県呉市で生まれ、華道の伝統的な形式美に対して革新をもたらしました。彼女が創流した安達式挿花は、その独自のスタイルで多くの人々に支持され、現在でも多くの愛好者がいます。

来歴と華道への道

安達は7歳から池坊流のいけばなを学び始めました。彼女は忠海中学を経て早稲田大学に進学しますが、華道への情熱を追求するため中退しました。特に彼女は当時の華道界が抱える因習や定型主義に対して違和感を持ち、生花の形式だけでなく、飾花の新たなスタイルを提唱しました。「一切の因習、定型を捨てて模倣をなさず」という彼女の言葉には、革新への強い意志が表れています。

大正6年（1917年）に安達式挿花を創流し、西洋の花弁装飾に触発された家庭いけばなを発案しました。彼女のスタイルは、洋風化する生活スタイルに絶妙にマッチし、特に上流家庭の女性たちの間で大きな人気を博しました。

新たな試み

安達は大正元年（1912年）、初の有料の飾花展を開催し、入場料は1円と設定しました。この展示は、多くの人々に新鮮な体験を提供し、彼女の名を広める一助となりました。また、剣山の使用や花型の型紙化といった新たなアプローチを提唱しました。彼女は従来の華道に新風を吹き込み、指導方法にも革新をもたらしました。

昭和11年（1936年）には、東京青山に日本初のいけばな学校「安達式挿花芸術学園」を設立しました。この学校はテキストを用いた指導が行われ、わずか1年で免許を取得できるカリキュラムが画期的なものでした。こうした取り組みは、いけばなの教育における新たなスタイルを形成し、今なお多くの流派に影響を与えています。

私生活と晩年

戦後、安達潮花は前衛生け花の流行に直面し、これまでの地位を脅かされます。また、彼女が期待を寄せていた長女の曈子との間に亀裂が生じ、晩年は苦しい時を過ごしました。昭和44年（1969年）に彼女は81歳で亡くなりました。

彼女の後を継いだ長男は1980年に急逝しましたが、長女の曈子は自身の流派「花芸安達流」を立ち上げ、安達式の要素を取り入れ、現在まで活動を続けています。曈子もまた2006年に亡くなりました。

椿への情熱

潮花は椿の愛好家としても知られ、日本で初めて椿の香りに注目した人物とされています。彼女は多くの貴重な品種を収集し、昭和47年（1972年）には資生堂の創立100周年を記念したプロジェクトで自身のコレクションが買い取られ、横浜市青葉区のこどもの国に寄贈されました。この場所には約600種、7000本のツバキ・サザンカが植えられており、現在では椿の名所として多くの愛好者に親しまれています。

著作

安達潮花は、様々な著作も残しています。代表的な著書には『盛花投入大鑑』（1918年、泰山房）や『おんな歳時記』（1961年、産業経済新聞社出版局）があります。これらの著書は、彼女の華道に対する深い理解と革新性を示すものです。

もう一度検索