安部譲二

安部譲二の生涯と多彩なキャリア

安部譲二（あべ じょうじ）は、1937年5月17日に東京で生まれ、2019年9月2日に急性肺炎で亡くなった日本の小説家、タレントです。元暴力団員という異色の経歴を持ち、自らの経験を基にした自伝的な作品を数多く執筆しました。その中で特に有名なのは『塀の中の懲りない面々』で、この作品はベストセラーとなり、後に映画化もされました。

生い立ちと学歴

彼は日本郵船の社員である父、安部正夫と、母・玉枝のもとに四人兄姉の末っ子として生まれました。母方の血筋は岩谷松平に繋がる名門であり、父方の祖父は造船技師であり、夏目漱石や正岡子規と同世代でした。早い段階から国内外で成長し、幼少期にはロンドンやローマでの生活を経験。その後、日本に帰国し、名門校で学びました。

麻布中学校に通っていたころ、彼は江戸川乱歩主宰の雑誌にアブノーマルな小説を投稿し、そのため写経を強いられたことがあります。この頃から彼は非凡な才能を発揮し始めましたが、同時に暴力的な環境にも身を置くことになりました。

暴力団構成員としての活動

安部は16歳で本格的に暴力団員となり、その活動に従事しながらも、スポーツにも情熱を注ぎました。高校3年生の時には横浜で不良とトラブルになり、少年院への送致を受けるなど波乱の青春時代を過ごしました。後に強盗未遂と銃刀法違反で逮捕され、服役することになりました。この経験は後の作家としての活動に強い影響を与えました。

日本航空での勤務

22歳で日本航空に入社し、客室乗務員として国際線に乗務しました。仕事は真面目にこなす一方で、情緒的になりがちであり、乗客とのトラブルもあったようです。彼の暴力団員としての過去は、やがて発覚し、1965年に退社に追い込まれました。退社後は一時的に再び暴力団に戻り、様々な職を転々としました。

作家としての成功

1983年から本格的に執筆を開始し、1986年に『塀の中の懲りない面々』が出版されました。これにより、彼は人気作家としての地位を確立しました。さらに、テレビに進出し、タレントとしても活躍。多くのバラエティ番組やドラマに出演し、明るいキャラクターでファンを惹きつけました。

また、彼は漫画の原作者としても知られ、第51回小学館漫画賞を受賞した作品の作者でもあります。リアルな体験を基にした物語は、多くのメディアで評価されました。

晩年と多彩な交友関係

2010年代にも幅広い活躍を続け、雑誌の連載やラジオ番組などでその語り口を楽しませてくれました。著名人との交友関係も広く、ここでは紹介しきれない程多彩な人物と交流がありました。特に野球や将棋好き、猫好きなことが知られ、趣味を通じて多くのファンとつながっています。

死去と影響

安部譲二は人生の最後まで多くの人に愛された存在であり、彼が書き残した作品やメディアでの活動は、今でも多くの人々に影響を与えています。彼の生涯は、多くの教訓を含んでおり、荒れた過去を乗り越えた成功が、さまざまな人々にとっての希望の象徴となっています。

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