宋端儀

宋端儀（そう たんぎ）は、15世紀後半から16世紀初頭にかけての明代に活躍した学者であり官僚です。字（あざな）は孔時（こうじ）、号は立斎（りっさい）と称しました。彼の本貫は興化府莆田県（現在の福建省莆田市）にあります。

生涯

1481年（成化17年）、宋端儀は進士の試験に合格し、官僚としての道を歩み始めます。最初に任じられたのは礼部精膳司主事という役職でした。しかし、間もなく父母を相次いで亡くしたため、職を辞して喪に服すことになります。喪が明けると、再び礼部に召され、今度は祠祭司主事として勤務しました。

その後、雲南省で提学（教育を司る官職）の欠員が出た際、礼部は宋端儀を後任に推薦しようとしました。しかし、吏部（人事をつかさどる役所）が正式な人事発表前にこの情報を漏らしてしまい、噂が広まってしまいます。この事態に対し、宋端儀は「人事が公表される前から噂になっているとは、まるで私が官職を求めて動いたように思われるだろう」と述べ、提学への就任を固辞しました。彼は、人々の誤解を招くことを極度に嫌ったのです。

その後、宋端儀は礼部主客司員外郎に進みます。この役職では、外国からの使節と頻繁に面会する機会がありましたが、彼は彼らからの贈物を全て拒絶し、一切受け取りませんでした。彼の清廉潔白な人柄がうかがえるエピソードです。

1495年（弘治8年）、宋端儀は広東按察司提学僉事として地方に赴任します。この地で教育行政に携わっていた最中の1501年（弘治14年）7月甲子の日、在官のまま亡くなりました。享年は55歳でした。

著書

宋端儀は、学者としても多くの著作を残しています。その中でも主なものとしては以下のものがあります。

『立斎閑録』 4巻
『祠部典故』 4巻
『宋行朝録』
『革除録』
『考亭淵源録』
『莆陽人物備志』
『郷賢考証』
『莆陽科名志』
『高科録』
『莆陽逸事』
『立斎稿』

これらの著作は、彼の学識の深さを示すとともに、当時の社会や文化、歴史を研究する上で貴重な資料となっています。

宋端儀は、官僚としては清廉潔白で、学者としては学識豊かであった人物として後世に名を残しています。彼の生涯は、明代の官僚や知識人のあり方を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

参考文献

『明史』巻161 列伝第49
奉政大夫広東按察司提学僉事立斎宋君墓誌銘（黄仲昭『未軒文集』巻6所収）
奉政大夫広東按察司提学僉事宋君立斎墓表（林俊『見素集』巻20所収）

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