礼部

礼部（れいぶ）

礼部は、中国の古代から近代にかけて存在した官庁の一つで、その役割は多岐にわたりました。満洲語では「dorolon i jurgan」と表記されます。この部は、礼楽、儀仗、教育、国家祭祀、宗教、外交、そして科挙（官吏登用試験）を担当していました。礼部の祖型は、漢代にさかのぼることができ、各王朝を通じてその組織が整備され、時には「祠部」と改称されることもありました。

歴史的な変遷

唐代において、礼部の組織はさらに整い、長官には尚書（礼部尚書）が、次官として侍郎（礼部侍郎）が置かれました。礼部には以下の四つの司が設けられ、それぞれの役割が明確になりました。

1. 礼部司：礼楽、儀式、衣服、冠などに関連する事柄を担当。
2. 祠部司：祠祭、国忌、廟、禁忌、天文、医療、宗教にかかわる事務を管理。
3. 膳部司：食事と食糧に関する事務を目指す。
4. 主客司：外交・接待関連の業務を行う。

これらの司には、それぞれ判官が割り当てられ、郎中（ろうじゅう）と員外郎（いんがいろう）が設置されました。科挙においては、礼部侍郎が試験の監督を行う役割を果たし、合格者は吏部の試験を受け、その結果次第で官吏に登用される体制が整えられていました。

宋代から明清代への発展

宋代には、礼部の機能に代官が充てられるようになりましたが、元豊年間には改革が行われ、礼部の重要性が再認識されました。その後、明代や清代を通じて、礼部は引き続き重要な役割を担っていきました。当時、礼部は国家の儀礼的な側面を担当する中心的な組織として、祭祀や外交をはじめとする多くの事務を行っていました。

廃止とその影響

しかし、清宣統3年（1911年）には内閣官制が施行され、礼部はついに廃止されることとなりました。この決定は、近代化の流れの一環として捉えられています。礼部の廃止は、中国における伝統的な制度と官僚機構の大きな変革を象徴する出来事でもありました。

まとめ

礼部は、その成立から廃止までの長い歴史の中で、中国の文化や宗教、教育、外交における重要な役割を果たしてきました。今日に至るまで、礼部が担っていた職務は国家運営においても重要な意味を持ち続けており、その影響は今なお色濃く残っています。

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