宋連玉

宋連玉 - 在日朝鮮人二世の歴史学者

宋連玉（ソン・ヨノク）は1947年に大阪府で生まれた在日朝鮮人二世の歴史学者及び社会学者です。彼女は、朝鮮近現代のジェンダー史を専門としており、青山学院大学経営学部の名誉教授を務めています。また、日本軍「慰安婦」歴史館後援会の共同代表として活動し、文化センター・アリランの館長も務めています。

学歴と経歴

宋連玉は、同志社大学文学部文化学科の教育学専攻を卒業した後、韓国国立ソウル大学で文理学を学び国史学科を卒業しました。その後、大阪府枚方市教育委員会にて朝鮮語講師としての職務を経て、ソウル大学校の大学院で修士号を取得しました。さらに、大阪外国語大学の大学院で朝鮮語学を専攻し再び修士号を取得し、正式に文学修士と語学・文化学修士の学位を持つこととなります。

彼女の職歴にも多様な経験があり、大阪府枚方市教育委員会では朝鮮語講師としての職務に専念し、その後2002年から2007年には高麗博物館で理事を務めました。また、朝鮮奨学会でも学術論文の審査委員として活動してきました。

研究テーマ

宋連玉の研究テーマは、在日朝鮮人女性の戦後史や20世紀朝鮮半島におけるジェンダーとエスニシティ、さらには戦争記憶の検証と平和概念の再構築に焦点を当てています。彼女は、歴史の視点から現在の社会や文化を見つめ直し、特に女性の視点からの歴史的なアプローチを積極的に行っています。

講演活動と主張

彼女は、2010年のVAWW-NETジャパンの総会シンポジウムにおいて「帝国のフェミニズム、植民地のフェミニズム」というテーマで講演を行いました。これは、日本の植民地支配が女性に与えた影響について深く掘り下げた内容でした。また、朝鮮人女性が直面した公娼制度や「慰安婦」問題についても講演し、これらの歴史的問題が現代社会にどのように影響を与え続けているかを語りました。

宋連玉は、日本の社会が今なお多くの差別構造を内包していることを強調しており、「在日朝鮮人と日本人の連帯がなければ、社会変革は実現しない」と述べています。彼女の主張は、持続可能な社会について考える上で重要な指摘となっています。

慰安婦問題への取り組み

慰安婦問題について彼女は、日本の植民地支配に伴う性暴力や性売買のシステムが、どのように朝鮮人女性を巻き込んだのかを詳述しています。彼女の研究は、当時の社会状況とその影響を考える重要な材料となり、慰安婦問題がもたらした衝撃とその後の影響について多くの人に認識を促しています。彼女の指摘によれば、植民地支配がなければ多くの女性が日本の侵略戦争に動員されることはなかったとされています。

著書

宋連玉の著書には、『脱帝国のフェミニズムを求めて：朝鮮女性と植民地主義』や『植民地「公娼制」に帝国の性政治をみる』などがあり、これらは彼女の研究成果を反映した重要な文献となっています。また、彼女は複数の著書を編纂したり共著したりするなど、学術的な活動を幅広く行っています。

結論

宋連玉の多彩な業績は、学術界にとどまらず広く社会へのメッセージを持っています。彼女が持つ視点は、今日の社会問題について考える際に重要な示唆を与えており、今後の研究と活動がさらに注目されることが期待されます。

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