宗石大

高知競馬界のレジェンド：宗石大氏の軌跡

1951年、高知県香美市（旧・香美郡土佐山田町）で生まれた宗石大氏は、農家の家に生まれ育ちました。幼少期は農耕馬や競走馬に囲まれた環境で過ごしました。将来の夢は、エンタツ・アチャコや藤山寛美のような人気漫才師になることでしたが、実現の糸口が見つからず断念。その後、大工を目指して職業訓練校に通学を始めますが、経済的な理由から断念せざるを得なくなります。

思案の末、宗石氏は自身の体格の小ささを活かせる職業として騎手を志します。いわゆる「一発試験」と呼ばれる厳しい騎手試験に見事合格し、念願の騎手免許を取得しました。

騎手としてのキャリアは長く、1万回以上の騎乗経験を積み重ね、1000勝を超える輝かしい成績を残しました。その経験について宗石氏は「下手くそな私を1万回も乗せてくれたのは、義理と人情みたいなものだったから、私も義理と人情が大事の人間になっちゃった」と回顧しています。この言葉には、長年の騎手生活の中で培われた人との繋がりと、感謝の気持ちが凝縮されていると言えるでしょう。

長年の騎手生活に幕を閉じると、宗石氏は調教師の道へと進みます。1994年に調教師としてデビューを果たし、数々の名馬を育成しました。中でも、多くのファンを魅了したハルウララの管理調教師として広く知られるようになりました。ハルウララは、その不屈の闘志と、何度も立ち上がる姿で多くの人々の心を掴み、一大社会現象を巻き起こしました。宗石氏は、そんなハルウララの才能を見抜き、その才能を最大限に開花させる手腕を発揮しました。

さらに、宗石氏の調教師としての能力の高さを示すエピソードとして、地方競馬全国協会（NAR）が定める最多出走記録の更新があります。2007年にはヒカルサザンクロスで、そして2012年にはセニョールベストで、この記録を更新。長年にわたる経験と卓越した調教技術の賜物と言えるでしょう。

宗石大氏の物語は、決して順風満帆なものではありませんでした。しかし、困難を乗り越える力強さと、人との繋がりを大切にする温かい人柄が、数々の成功と、そして多くの人の記憶に残る名調教師としての地位を築き上げたと言えるでしょう。彼の功績は、高知競馬の歴史に、そして日本の競馬史に深く刻まれています。

参考文献

岡本弘『またも負けたか100連敗 負けるが勝ち!ハルウララ物語』アスク、2004年
吉川良『高知競馬のハルウララ』アスク、2004年

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