官設鉄道芦屋川隧道跡

官設鉄道芦屋川隧道跡について

官設鉄道芦屋川隧道跡は、兵庫県芦屋市月若町から松ノ内町にかけて位置している歴史的なトンネルの跡地です。この場所は、かつて大阪と神戸を結ぶ官設鉄道の一部として利用されていました。多くの鉄道路線と同様に、芦屋川隧道もその建設においてユニークな技術と工夫を必要としました。

トンネル建設の背景

鉄道の開通は、交通網の発展において重要な役割を果たしました。新橋と横浜間の鉄道が開通した後、次に計画されたのが大阪と神戸を結ぶ路線でした。初めの計画では、浜手側を通る予定でしたが、灘地区の酒蔵からの苦情により、長期間にわたる煙が酒の品質に影響を与える懸念が起こりました。このため、路線は山のふもとを通るように変更されました。

計画段階での課題

芦屋川は、周围の土地よりも高い位置に土砂が堆積して形成された天井川です。このような地形では、当時の汽車の馬力では傾斜を登ることが難しく、川底を利用したトンネルを作らざるを得ませんでした。この特殊な構造により、鉄道建設は一層難航したと言われています。

着工と完成

トンネルの建設は1871年（明治4年）5月に着手され、1874年（明治7年）3月に完成しました。この隧道は、石屋川隧道や住吉川隧道に続いて日本で初の複線断面鉄道トンネルとしての位置づけを持ち、当時の技術水準を象徴しています。

鉄道の開通

1874年5月11日、大阪と神戸を結ぶこの鉄道が開業しました。芦屋川隧道の建築にあたって用いられた煉瓦や建築技術は、当時高く評価され、イギリスの新聞にもその様子が紹介されました。このように、芦屋川隧道は国際的にも注目される存在となったのです。

解体と現代における役割

しかし、時代の流れと共に、1920年（大正9年）にはこのトンネルが複々線化工事のために解体され、その後は芦屋川跨線水路橋として改築されました。現在でも、JR東海道本線（JR神戸線）として多くの人々に利用され続けています。

今でも線路の北側の斜面には、かつての隧道の煉瓦構造物と思われる破片が埋もれており、歴史を物語る貴重な痕跡が残されています。かつてのトンネル跡は、今や過去の技術や努力の証として、多くの訪問者の目に触れる場所となっています。

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