宙ポコ

『宙ポコ』について

『宙ポコ』は、日本の漫画界を代表する作家、藤子・F・不二雄によって創作された作品です。この漫画は、1983年4月から6月まで、小学館の雑誌『別冊コロコロコミック』に連載されました。藤本弘が単独で制作したこの作品は、連載開始にあたって非常に大きな期待をかけられていました。

連載の背景

『別コロ』は、それまで隔月刊行でしたが、月刊誌として新たにスタートを切ることになりました。その新生『別コロ』の目玉作品として『宙ポコ』が選ばれたのです。開始当初は、藤子・F・不二雄の代表作である『ドラえもん』と同等かそれ以上の人気が期待されていました。このため、ダイナミックな宣伝文句が掲げられ、「ドラえもんに続く最大のギャグヒーロー」という触れ込みで紹介されました。さらに、特別イベント「コロコロまんがまつり」では、宙ポコの等身大ぬいぐるみが展示されるなど、派手に登場しました。

しかし、連載中の藤本は、『宙ポコ』が「どうしてもドラえもんになってしまう」と感じ、その結果、わずか3回で連載が終了するという短命の作品になってしまいました。このような葛藤から、宙ポコが万能のキャラクターとして設定されたことが裏目に出たと考えられています。作品の監修にあたる『コロコロ』の4代目編集長、黒川和彦は、当時の藤本が大変苦しんでいたと述べています。

あらすじ

物語は、主人公の少年・つとむが山中で出会った小さな宇宙人、宙ポコから始まります。宙ポコは、ソールス星という異星から登場した全身が黄色の生き物で、その姿は恐竜やゴジラの子供を彷彿とさせます。つとむは、宙ポコを自宅に迎え入れ、いじめっ子のガマグチとイナリを懲らしめたり、ガールフレンドのマリに自慢しようとします。しかし、宙ポコはつとむの傲慢な態度に腹を立て、地球を去ると言い出します。

そんな中、ガマグチたちに弱点を突かれた宙ポコを助けようと、つとむは身を挺して行動します。その結果、2人は友情を深めていきます。現実の困難を共に乗り越える中で、彼らは互いに成長し、絆を築いていくのです。このように、つとむと宙ポコの不思議な冒険が始まっています。

登場人物

• - 宙ポコ: 全身が黄色い、ソールス星からきた宇宙人。高い知能と能力を持ち、地球に滞在することになる。
• - つとむ: 宙ポコに出会った少年で、彼を理解し、サポートしようと努力する。
• - マリ: つとむのガールフレンド。
• - ガマグチ: いじめっ子のリーダー。
• - イナリ: ガマグチの親友で、彼に従う。

書誌情報

『宙ポコ』に関する書籍はいくつか存在します。1989年に藤子・F・不二雄による『ミラ・クル・1』が中央公論社から発行され、その後、2010年には同じ著者の『ミラ・クル・1 宙ポコ / 宙犬トッピ』が小学館から出版されました。

まとめ

『宙ポコ』は、藤子・F・不二雄の魅力を存分に感じさせる作品でありながらも、ドラえもんとの類似性ゆえに長期連載には至りませんでした。短い連載期間にも関わらず、独特なキャラクターたちと心温まる友情の物語が展開されており、藤子ファンやコロコロコミックの読者には魅力的な作品です。

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