宝仙学園短期大学

宝仙学園短期大学の歴史と教育理念

宝仙学園短期大学（ほうせんがくえんたんきだいがく）は、東京都中野区に位置し、1951年に設置された私立短期大学です。残念ながら2010年に廃止されましたが、その40年にわたる歴史の中で、保育教育や少人数制教育など、特色ある教育に取り組んでいました。

由来と設立の経緯

この大学の起源は、1935年に設立された仏教保育協会保姆養成所にさかのぼります。仏教思想に基づいた保育教育の伝統を受け継ぎ、1951年に短期大学として開学しました。設置主体は学校法人宝仙学園であり、短期大学として最大で2つの学科と2つの専攻が設けられていました。

教育理念

宝仙学園短期大学の教育理念は、以下の2つに集約されます。「人間として成長することから」・「少人数制教育を母胎に」という方針のもと、学生同士や教員との密接な関係性を大切にしました。特に、保育学科では1935年の開設以来、長い歴史と仏教思想を基礎とし、少数のグループによる人間的なふれあいを重視した教育が実践されてきました。

学科と特色

保育学科は、学生が幼稚園教諭免許や保育士資格を取得できるように教育を施し、450時間以上の実習体験を通じて実践能力を高めることを目指していました。具体的には、東京都内の附属幼稚園での教育実習や地域の児童福祉施設と連携した保育実習が行われており、地域社会に根ざした保育者の養成が行われていました。

一方、生活芸術科も設置され、学生に対しプロとして通用する知識と技術を短期間で習得できる環境を提供していました。この学科では、少人数制教育のもと、専門知識に特化した教育を行い、学生の成長をサポートしていました。しかし、造形芸術学科は2008年に学生募集が終了し、廃止される運命にありました。

特徴的なプログラム

大学では特に注目されたのが「利賀村移動授業」と呼ばれるプログラムです。これは富山県南砺市にて、教員と学生が共同生活を行いながら人間性を育てる体験的な授業です。この取り組みは、文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」にも選定され、多くの学生に影響を与えました。加えて、韓国との国際交流プログラムも行われ、幅広い視野を持った保育者を育成する土壌がありました。

学生活動と卒業後の進路

学生生活においては、「宝仙祭」と呼ばれる学園祭が開催され、多くの参加者で賑わったほか、クラブ活動やサークル活動も活発でした。卒業後は、保育学科の学生は様々な大学や専門学校に進学した実績があり、成功裏に就職した多くの卒業生がいます。また、造形芸術学科の学生も多くの著名な大学院に進学した例があり、特に東京芸術大学への進学実績もあります。

終焉の時

残念ながら、宝仙学園短期大学は2010年にその使命を終え、正式に廃止されました。学生にとっては多くの学びを提供し続けた場所だっただけに、その閉校は大きな衝撃をもたらしました。しかし、その教育理念や精神は、後に創設された宝仙学園の後継機関であるこども教育宝仙大学へと受け継がれています。

このように宝仙学園短期大学は、教育の現場で数多くの影響を与えつつ、子どもたちへの愛情や倫理観を重視した教育を実践してきたことが、多くの卒業生によって今も引き継がれています。

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