宝勝院

寶勝院は、岐阜県美濃市に所在する真言宗醍醐派の寺院であり、本尊には不動明王が祀られています。金毘羅山という山号を持ち、古くから地域の人々に親しまれてきました。

寺の創建は平安時代にまで遡ると考えられていますが、詳しい年代や創建時の状況については、過去の火災などにより記録が失われており、正確なことは分かっていません。創建当初は伊勢舎と呼ばれていたことが記録に残っています。

天正18年(1590年)には、南渡快俊僧都によって寺が再興され、この時に現在の本尊である不動明王が安置されました。この再興により、寶勝院は新たな歴史を歩み始めることとなります。

江戸時代に入ると、この地を治めていた金森長近が、寶勝院のある上有知に長良川の水運を利用した川湊を設けました。これにより、地域は水運の要所として発展を遂げます。慶長年間には、その水運の守護神として、讃岐から金毘羅大権現が勧請されたと伝えられています。

天明年間には火災によって寺が焼失するという不幸に見舞われましたが、文化4年(1807年)に再建され、現在の姿に至っています。この再建は、地域の人々にとって大きな喜びであり、信仰の拠り所として再び活気を取り戻しました。

寶勝院は、美濃三十三観音霊場の第四番札所、中濃八十八ヶ所霊場の第三十四番札所でもあり、多くの巡礼者や参拝者が訪れます。境内は静かで落ち着いた雰囲気に包まれており、訪れる人々に安らぎを与えています。

この寺は、美濃市の歴史と文化を語る上で欠かせない存在であり、地域の信仰の中心として、今もなお人々に寄り添い続けています。歴史的な背景と美しい自然に囲まれた寶勝院は、訪れる人々に深い感動と癒しを与えてくれるでしょう。


参考資料:
美濃市史
美濃西国三十三観音霊場巡礼

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