宝厳寺 (松山市)

宝厳寺（ほうごんじ）

宝厳寺は、愛媛県松山市道後湯月町に位置する時宗の寺院で、豊国山遍照院と号します。この寺は、時宗の祖である一遍上人の生誕地として知られ、境内は愛媛県の史跡に指定されています。

歴史

寺伝によれば、宝厳寺は天智4年（665年）に斉明天皇の勅願により、国司の越智守興によって創建されました。当初は法相宗でしたが、平安時代中期に天台宗に改められ、当時は松ヶ枝町一帯に12の支院を有するほど繁栄していました。

正応5年（1292年）には、一遍上人の弟である仙阿によって再興され、時宗に改宗しました。これにより、宝厳寺は時宗十二派の一つである奥谷派の本山となりました。一遍上人は、延応元年（1239年）に河野通広の第二子として宝厳寺の一角で生まれたと伝えられています（異説もあります）。建武元年（1334年）には、得能通綱が「一遍上人御誕生旧跡碑」を松ヶ枝町の入り口に建立しました。この碑は、大正15年（1926年）に境内に移築されています。

しかし、平成25年（2013年）8月10日、宝厳寺は火災に見舞われ、本堂と庫裏が全焼しました。この火災により、所蔵されていた国の重要文化財である木造一遍上人立像も焼失してしまいました。火災発生時、参拝者からの連絡があった際には既に煙が充満しており、消火活動も困難を極めました。焼け跡からは木像の残骸は発見されず、焼失と判断されました。

平成26年（2014年）5月13日には、松山市教育委員会の定例会において、前年の火災で焼損した市指定有形文化財（工芸品）の「懸仏および残欠」の指定が解除されました。その代わりに、「宝厳寺伝来懸仏残欠」および「宝厳寺伝来小仏」という名称で、歴史資料として新たに市指定有形文化財に指定されることが承認されました（同年5月16日付けで指定）。

復興に向けて、平成26年（2014年）9月23日には檀家総会が開かれ、総事業費1億5000万円のうち、約1億2千万円の寄付が集まったことが報告され、本堂などの再建計画が承認されました。再建工事は同年11月に着工し、平成27年7月4日に本堂の上棟祭、7月21日に一遍上人堂の上棟が行われました。そして、平成28年（2016年）5月14日には、本堂および一遍上人堂の落慶法要と一遍上人像の開眼法要が盛大に執り行われました。

境内

宝厳寺の境内には、以下の施設があります。

山門：火災を免れた唯一の建造物です。上人坂を上り詰めた場所に位置しています。
本堂：新造された阿弥陀三尊像を拝観することができます。
一遍上人堂：新造された青銅製漆塗りの一遍上人像（像高113cm）が安置されています。また、一遍聖絵の模写4枚が展示されています。

文化財

県指定文化財
一遍上人誕生地：境内は「一遍上人の誕生地」として、昭和24年（1949年）9月17日に愛媛県の史跡に指定されました。
焼失した文化財
木造一遍上人立像：室町時代・文明7年（1475年）に制作されたもので、1901年（明治34年）3月27日に旧国宝（現在の重要文化財）に指定されましたが、平成25年（2013年）8月10日の火災で焼失し、平成26年（2014年）8月21日付けで指定解除されました。

交通

伊予鉄道城南線 道後温泉駅から徒歩5分
駐車場：山門下に20台、境内横に20台（参拝者無料）

周辺施設

伊佐爾波神社：宝厳寺のすぐ南に位置しています。
* 道後温泉本館：西に少し歩いた場所にあります。

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