宝厳院

宝厳院の紹介

宝厳院（ほうごんいん）は、京都市右京区の嵯峨天竜寺芒ノ馬場町に位置する、有名な臨済宗天龍寺派の寺院です。この寺院は、大本山である天龍寺の塔頭として知られています。山号は「大亀山」で、本尊には十一面観音が祀られています。宝厳院の庭園と建物は、時代劇などの撮影地としても利用されており、歴史的な魅力を感じさせる場所です。

日本の四季を美しく彩るこの寺院では、特に初夏には「青もみじ」として知られる新緑が広がり、訪れる人々に癒しを与えます。この「青もみじ」という表現は、宝厳院の美しい初夏のもみじから派生したものです。

歴史

宝厳院の創建は1461年（寛正2年）に遡り、当時の権力者である細川頼之が聖仲永光を開山に迎えたとされています。ただし、頼之はその年にはすでに亡くなっていたため、創建の詳細については謎が残ります。初期には現在の京都市上京区に所在していましたが、応仁の乱により一度焼失し、1560年代に再興されました。

その後、明治時代に河川工事に伴い寺域が売却されると、弘源寺内に移転しましたが、2002年に現在の地を購入し再び再興されました。この新しい境内は、元々天龍寺塔頭の妙智院の跡地です。妙智院は幕末の禁門の変で消失し、長い間は別荘地としても利用されていた歴史があります。

境内の施設

宝厳院の本堂は2008年に再建され、襖絵は58枚あり、女性画家の田村能里子が手掛けています。特に朱色を基調にした襖絵は珍しく、寺院の本堂にふさわしい華やかさを持っています。本尊の十一面観音立像の脇には、西国三十三所観音霊場から模した33体の観音像が祀られています。また、足利尊氏によって祀られていたとされる地蔵菩薩立像も見どころの一つです。

他にも、書院は1919年に建てられ、当初は日本郵船の重役が所有していた別荘でしたが、宝厳院に移転後は仮本堂として使用されています。この建物は大正から昭和初期の数寄屋建築の黄金期に建設されたもので、重要な文化財として保存されています。

さらに、境内には獅子吼の庭と呼ばれる回遊式庭園があります。この庭園は嵐山の美しい風景を借景としており、戦国時代には天龍寺塔頭の妙智院の庭として作られました。獅子の形をした岩や破岩の松などが特徴で、紅葉の名所としても知名度が高いです。

アクセス

宝厳院は、JR嵯峨野線の嵯峨嵐山駅から徒歩で15分ほどの位置にあり、訪問するには非常に便利な場所にあります。近隣の自然環境や文化も楽しむことができるため、観光ルートに組み入れる価値があるスポットです。

まとめ

観光客だけでなく、地元の人々にも愛されている宝厳院は、歴史的な寺院として、また美しい自然の中で静かな時間を過ごせる場所として、多くの人々の心を惹きつけています。初夏の「青もみじ」や秋の紅葉の景色は、四季折々の魅力を感じさせてくれることでしょう。

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