宝永富士宮地震

宝永富士宮地震

宝永富士宮地震（ほうえいふじのみやじしん）は、江戸時代の1707年10月29日に駿河国富士宮付近で発生した大地震です。この地震は、南海トラフに関連し、宝永地震の重要な余震として知られています。

地震の発生

この地震は、宝永4年の10月5日の卯刻（約6時頃）に発生し、特に駿河や甲斐の地域で激しい揺れが感じられました。内陸地震としては、この宝永地震が最大の後続震として位置づけられています。記録によれば、地震が発生した翌日に試される震動は想像を超えたものでした。

被害の記録

当時の公用日記である柳沢吉保の『楽只堂年録』には、宝永地震本震とそれに続くこの地震による被害について詳しい記録が残されています。また、村山浅間神社からの報告によれば、4日の本震は「夥しき地震」と表現されていますが、5日の地震による被害は特に深刻であり、複数の建物が倒壊し、死者が出る事態となりました。

富士山本宮浅間大社においても被害が報告されており、その文書には神社と仏閣が傾き、村の家々が多く崩れたと記されています。しかし、4日と5日の地震被害を明確に区別することは難しいと考えられています。

他の地域からの情報からも、地震の影響は広範囲に及んでいたことがわかります。「両度之地震ニ而」と記載された油井や岡部、袋井の報告もあり、これらの記録でも本震との区別が困難です。神原地区でも、再度の地震によって山崩れが起き、住宅が半壊や全壊する事態が報告されています。

被害の規模

『日本被害地震総覧』に記載によると、地震により甲斐地区では家屋の倒壊が数多く発生し、24名の死者が出たとされています。しかし、この被害の大部分は4日の本震によるものとされています。甲西町志や『新津容策家の往年災異記』からは、4日の地震の影響で南アルプス市内の村が一帯として壊滅的な被害に遭ったことも記されています。

江戸では地震後に御機嫌伺いのために城へ向かう人々があり、震度は4程度と推定されます。この様子は、当時の慣習だったとされています。

豊富な記録により、多地域で地震の影響があったことが文献からも確認できます。日光や松代、富山、大聖寺、名古屋などからも強い揺れの記録が残されています。

続く余震とその影響

地震の後、富士山周辺では続けて余震が発生し、さらに11月には鳴動が始まり、最終的には宝永大噴火が起こりました。この噴火により新たに宝永山が形成されたことも歴史的な出来事として記されています。

規模と推定

この地震のマグニチュードは、異なる研究者による評価でM 7.0とされています。また、近年の研究では、2011年に発生した静岡県東部地震を参考にし、本地震のマグニチュードは6.6から7.0の範囲であると推測されています。

このように、宝永富士宮地震は当時の社会に大きな影響を与え、その後の歴史にも影響を及ぼす重要な出来事となりました。

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