宝生弥一

宝生弥一（ほうしょう やいち）とは

宝生弥一（1908年7月2日 - 1985年3月11日）は、下掛宝生流に属する著名な能楽師です。彼はもともと光本弥一郎という名で知られており、愛媛県松山市で生まれました。彼の父は宝生流のワキ方として活躍した光本敬一で、家庭環境が彼の能楽への道を開く要因となりました。

幼少期から初舞台までの経歴

1918年に上京し、宝生流家元である宝生新に入門した彼は、1940年代に初めて舞台に立ちます。彼の初舞台は1922年の「小鍛冶」で、大臣役を演じました。その後の生涯にわたって多くの舞台で才能を発揮し、観客に感動を与えました。

1923年には関東大震災の影響を受け、松山に帰郷しますが、その後再び東京都内での活動を再開します。1931年には法政大学専門部商業科を卒業し、さまざまな分野での経験を積んでいきます。1933年には宝生新の娘と結婚し、後に宝生姓を名乗ることになります。

宝生流の家元としての活動

1944年、父の死去に伴い、宝生新の後見役となり、宝生流の発展に貢献しました。彼は戦後の能楽界において非常に重要な存在となり、1970年代以降は数々の賞を受賞するなど、その業績が広く評価されました。特に芸術祭優秀賞や紫綬褒章、さらに日本芸術院賞を受賞したことは、彼の技術の高さを裏付けています。

1981年には重要無形文化財保持者に認定され、1984年には芸術院会員となるなど、彼の影響力はますます増していきました。

能楽への貢献と死去

彼の能楽に対する情熱と技量は、戦後の第一級のワキ方として広く認識されることとなりました。1985年に彼は亡くなりましたが、その遺産は今なお多くの能楽師に引き継がれています。彼の墓所は東京の善性寺にあり、多くのファンや後進が訪れています。

遺した作品

彼の舞台活動の記録は、いくつかのDVDとしても残されています。特に「能楽名演集」シリーズでは、「隅田川」や「俊寛」、「猩々乱」などの作品が収録されており、多くの人に鑑賞されています。これらの作品は、彼の卓越した演技力や、能楽の深い世界を知るための貴重な資料となっています。

結論

宝生弥一の遺産は、能楽という伝統文化を深く理解し、次の世代に受け継ぐための糧となっています。彼の功績は、今日もなお多くの愛好者によって称賛され続けています。

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