実報寺

実報寺の紹介

実報寺（じっぽうじ）は、愛媛県西条市の美しい自然に囲まれた場所に位置する寺院です。この寺は真言宗御室派に属し、新四国曼荼羅霊場の第35番札所に指定されています。寺の御詠歌には、「みどりごを　わきて恵みの　地蔵尊　乳房のもとめ　かなわぬはなし」という言葉があり、信者たちに深い思いを喚起させます。

歴史と概要

実報寺の設立は640年に遡り、当時の皇帝である舒明天皇が道後温泉での湯治の際に、恵隠法師に勅願を下したことが始まりです。この時、恵隠法師が寺院の開山を行いました。更に、弘法大師もこの地を訪れ、密教具を整備し、閼伽水井戸を掘ったと言い伝えられています。実報寺は、長い歴史の中で、様々な戦乱に翻弄されながらも、1672年に古堂から現在の場所に移転し、今の形となりました。

最近では、2022年10月30日に、33年に一度の本尊である地蔵菩薩坐像の開帳法要が行われ、多くの参拝者が訪れ、1989年以降の特別な日となりました。

伽藍の構成

実報寺の伽藍内には、いくつかの重要な建物があります。まず、山門（仁王門）や本堂があり、本堂の本尊は秘仏となっており、通常は大きな前立の地蔵菩薩坐像が参拝者に拝顔されています。また、大師堂や鐘楼堂もあり、訪れる人々はそれぞれの場所で心を静めて祈りを捧げることができます。

特に注目すべきは、岩倉殿という部屋がある客殿です。この部屋は、岩倉具視との関わりからその名が付けられています。また、行者の井戸（閼伽井）も見るべきスポットです。これは空海が訪れた際に、水を求めて掘られた井戸とされており、地元の方々にとっても大切な水源となっています。

文化財と自然

実報寺には多くの文化財も存在します。例えば、西条市指定の有形文化財として木造地蔵菩薩坐像があり、その高さは約3メートルもあります。また、「聖帝山」に関連する奉納額や縁起を記した巻物も文化財として指定されています。さらに、庭には小林一茶が詠んだ一句が記された句碑や、背広姿の僧侶の像もあり、これらがいかにこの寺院が地域の人々に支えられてきたかを物語っています。

また、実報寺の周辺には、西条市指定の天然記念物であるエドヒガンの古木、一樹桜なども点在しており、自然と歴史が共存する美しい環境が広がっています。

交通アクセス

実報寺へのアクセスは、四国旅客鉄道（JR四国）予讃線の伊予三芳駅から徒歩約2kmです。多くの参拝者や観光客が訪れるこの寺院では、心静かに時を過ごせる場が提供されています。地元の人々や訪れる人々に愛され続ける実報寺は、歴史や文化に触れる貴重なスポットと言えるでしょう。

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