客引き

客引き：違法行為としての現状と法規制

客引きとは、商店や飲食店、風俗営業店などが顧客を呼び込むための勧誘行為です。かつては一般的な営業活動の一環として認識されていましたが、近年はぼったくり店への誘導や、風俗営業へのスカウト行為など、悪質な客引きが社会問題化しています。そのため、多くの場合、違法行為として扱われ、厳しい罰則が適用されるようになりました。

日本の法律における規制

日本の法律では、客引き行為を複数の法律で規制しています。主なものとして、風俗営業法、各地方自治体の迷惑防止条例、軽犯罪法が挙げられます。

風俗営業法

風俗営業法第22条では、風俗営業に関わる客引き行為を明確に禁止しています。具体的には、営業者が自ら、あるいは従業員などを介して、特定の相手を営業所の客として勧誘することを禁じています。違反者には6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。行政解釈では、「相手方を特定して営業所の客となるように勧誘すること」が客引きとされています。1979年の東京高裁判決では、「風俗営業の営業者が、自ら又はその使用人その他の従業員をして、相手方を特定し、その営業所の客として遊興飲食をさせるため勧誘する行為」と客引きを定義づけています。この法律は、営業者だけでなく、従業員や依頼を受けた者にも適用されますが、営業者から独立して客引きを行う者には適用されません。

迷惑防止条例

各地方自治体では、迷惑防止条例において、公共の場所での客引きを規制しています。条例の内容は自治体によって異なりますが、一般的には、わいせつな行為や物品の勧誘、異性による接待を伴う飲食の勧誘、執拗なつきまといなど、公共の秩序を乱す客引き行為が禁止されています。また、公安委員会が指定する区域内での客待ちも禁止されている場合が多いです。近年は、客引き行為の規制強化の傾向が見られ、罰則も厳しくなっています。例えば、仙台市では、3回摘発されると氏名が公表されるようになりました。

軽犯罪法

軽犯罪法では、「他人の進路に立ちふさがったり、身辺につきまとったりして、不安や迷惑を与える行為」を禁止しています。客引き行為がこの条文に該当する場合、拘留または科料が科せられます。

フリーの客引きへの対応

従来、個人営業者や特定の店舗と雇用関係にないフリーの客引きの存在が問題となっていました。しかし、2010年代以降、各地の条例が改正され、特定区域内での客待ち行為も罰則の対象となるなど、フリーの客引きの摘発が容易になりました。

客引き行為禁止条例の例

多くの自治体が、客引き行為を禁止する独自の条例を制定しています。例えば、東京都新宿区、大阪市、京都市、立川市、川崎市、港区、名古屋市など、多くの都市で客引き行為を規制する条例が施行されています。これらの条例では、客引き行為の定義、禁止区域、罰則などが具体的に定められています。

まとめ

客引き行為は、その目的や方法によっては違法行為となり、厳しい罰則が適用されます。風俗営業法、迷惑防止条例、軽犯罪法など、複数の法律で規制されており、近年は規制強化の傾向が強まっています。公共の秩序や安全を守るためにも、客引き行為には十分注意する必要があります。

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