宣仁皇后

宣仁皇后：北宋を支えた太皇太后

宣仁皇后（せんじんこうごう）は、北宋の英宗（えいそう）の皇后であり、高滔滔（こうとうとう）という幼名を持ちました。彼女は1085年から1093年までの間、太皇太后（たいこうたいごう）として臨朝称制（りんちょうしょうせい）し、政治を主導しました。

生涯

亳州（はくしゅう）蒙城県（もうじょうけん）出身の高氏は、高遵甫（こうじゅんぽ）と曹氏（そうし：仁宗の皇后である曹氏の姉）の娘として生まれました。慶暦7年（1047年）に、団練使（だんれんし）趙宗実（ちょうそうじつ：後の英宗）に嫁ぎ、京光郡君（けいこうぐんくん）となりました。夫婦仲は良好で、趙頊（ちょうきょ：後の神宗）をはじめ、多くの子をもうけました。

嘉祐8年（1063年）4月1日、仁宗（じんそう）が崩御。男子がいなかったため、曹皇后（そうこうごう）が宗室の中から、仁宗の従兄の子である趙宗実を帝位につけました。4月29日、高氏は皇后に立てられました。治平4年（1067年）正月に英宗が崩御し、長男の神宗（しんそう）が即位すると、皇太后（こうたいごう）となりました。

元豊8年（1085年）3月、神宗が崩御し、幼い哲宗（てっそう）が即位すると、太皇太后となり垂簾聴政（すいれんちょうせい）を行いました。高太后は旧法（きゅうほう）を回復するよう努め、司馬光（しばこう）・呂公著（りょこうちょ）らを起用して新法派（しんぽうは）を排斥し、熙寧（きねい）・元豊年間（げんぽうねんかん）に立てられた法を廃止していきました。当時まだ少年であった哲宗はこれに反対し、祖母と孫の間は険悪になったと伝えられています。

元祐8年（1093年）9月、高太后は崩御しました。哲宗は実の祖母である高太后の廃位を準備していましたが、母の朱太妃（しゅたいひ）が諫言（かんげん）したため、取りやめたとされています。

逸話

仁宗の男子が相次いで夭逝（ようせい）したため、仁宗の従甥（いとこおい）である趙宗実（後の英宗）は幼い頃から宮中で養育され、その際に曹皇后の姪で同年齢の高滔滔と幼馴染となりました。その後、張氏（ちょうし：温成皇后）が仁宗の寵愛を一身に集め、仁宗は張氏に男子が生まれるのを心待ちにして、趙宗実を実家へ帰しました。しかし、結局張氏には男子が生まれませんでした。

曹皇后は高氏を一度は仁宗に勧めたものの、仁宗は「そなたの近親の成長を待ってはおれぬ。宗実が成長すれば、その妻にふさわしかろう」と言って拒否したという逸話が残っています（高氏が生まれたのは曹氏が皇后になる2年前で、仁宗より22歳年下でした）。

また、曹太后（そうたいごう）は高皇后に対し、英宗の妃嬪（ひひん）が少ないことをとがめた際、高皇后は腹を立て、「私は団練使に嫁ぎました、皇帝に嫁いだのではありません」と応じたとされています。

子女

趙頊（神宗）
陳国長公主（恵和帝姫）
趙顥（呉栄王）
趙顔（潤王）
蜀国長公主（明恵帝姫）
韓国魏国大長公主（賢徳懿行帝姫）

宣仁皇后は、北宋の政治に大きな影響を与えた女性であり、その生涯は多くの逸話に彩られています。

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