垂簾聴政

垂簾聴政（すいれんちょうせい）とは

垂簾聴政とは、幼い皇帝の代わりに、皇后や皇太后といった女性が政治を行う形態を指します。特に中国の歴史において見られる制度で、幼い皇帝の背後で、皇太后などが御簾（みす）越しに政治を代行することから、この名が付きました。

垂簾聴政の背景

中国においては、皇太后が男性の臣下と直接対面することを避けるという慣習がありました。そのため、皇帝の玉座の後ろに御簾を垂らし、皇太后はその中で政治を執り行ったのです。皇后が垂簾聴政を行う例は非常に少なく、皇太后であっても、日本の太[[皇太后]]に相当する立場や、先帝の皇后でなかったが生母として皇太后となる例など、様々なケースが見られました。

朝鮮半島においても、李氏朝鮮時代に幼い国王の母親である王大妃や、祖母である大王大妃が政治を代行することがありました。

歴史上の主な垂簾聴政の例

歴史上、垂簾聴政を行った人物として、前漢の呂后、唐の武則天（後に自ら皇帝となる）、清の西太后、李氏朝鮮の慈聖大妃や貞純王后などが挙げられます。また、1980年代には、鄧小平が最高実力者として政治を動かしていた状況を揶揄して「垂簾聴政」と表現されることもありました。

中国の例

漢
呂太后：恵帝の在位時と、2代の少帝の在位時に垂簾聴政を行いました。趙王劉如意やその生母の戚氏らを殺害したことが知られています。
太后竇氏：義子の霊帝の在位時に垂簾聴政を行いました。宦官勢力の排除に尽力しました。
北魏
文明太后馮氏：献文帝の在位時と、孝文帝の在位時に垂簾聴政を行いました。班禄制や三長制、均田制などの改革を実施しました。
霊太后胡氏：孝明帝の在位時に垂簾聴政を行いました。周辺国との外交改善や仏教の振興に努めました。
宋
章献太后劉氏：仁宗の在位時に垂簾聴政を行いました。軍政の改革や、西夏・遼との友好関係維持に尽力しました。
宣仁太后高氏：哲宗の在位時に垂簾聴政を行いました。王安石の新法を廃止し、旧法党を復権させました。
欽聖太后向氏：徽宗の在位時に垂簾聴政を行いました。新法党と旧法党の融和を図りました。
元祐[[皇后]]孟氏：宰相張邦昌の要請により、高宗を皇帝に擁立しました。
寿聖太[[皇太后]]呉氏：光宗の廃位を決定し、寧宗を皇帝に立てました。
寿明太后楊氏：理宗の在位時に垂簾聴政を行いました。金との友好関係維持に努めました。
清
東太后：同治帝と光緒帝の在位時に垂簾聴政を行いました。太平天国の乱の鎮圧や、宦官安徳海の処刑などを行いました。
西太后：同治帝と光緒帝の在位時に垂簾聴政を行いました。戊戌の政変や日[[清戦争]]、義和団の乱など、激動の時代を主導しました。
孝定景[[皇后]]：宣統帝の在位時に垂簾聴政を行いました。宣統帝の退位に関与しました。

李氏朝鮮の例

貞熹王后：成宗の在位時に垂簾聴政を行いました。
文定王后：明宗の在位時に垂簾聴政を行いました。
仁順王后：宣祖の在位時に垂簾聴政を行いました。
貞純王后：純祖の在位時に垂簾聴政を行いました。
純元王后：憲宗と哲宗の在位時に垂簾聴政を行いました。
神貞王后：高宗の在位時に垂簾聴政を行いました。

関連項目

摂政
尼将軍
幼君

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