宣阿

宣阿（せんあ）: 江戸時代の武士であり歌人

宣阿（せんあ）は、江戸時代中期に活躍した武士であり、歌人としても名を馳せた人物です。彼の本名は景継（かげつぐ）で、また様々な通称を持っており、三十郎、吉助、木工允などが知られています。さらに、隣善、一枝軒、淵竜といった号や、梅月堂宣阿という歌号も使用していました。

生い立ちと経歴

宣阿は、1647年に周防国岩国に生まれました。彼は吉川家の家老である香川正矩の次男という背景を持っております。延宝元年（1673年）、彼は京都に上京し、その後約15年の間、京都文壇で儒学者として活動します。この期間、彼は自身の歌の技術を磨きました。

ところが、貞享4年（1687年）の2月、突如として出家を決意し、時宗の僧侶に転身します。彼は清水谷実業や中院通茂、武者小路実陰など、当時の名だたる堂上歌人から指導を受け、二条派地下歌人としてその名を轟かせました。京の地にある梅月堂香川家の始祖として認められるようになり、一条烏丸の西入町で活動を続けるのです。

歌人としての評価

元禄8年（1695年）には「山々はまだ明けぬ夜の雲の上に白きを見れば雪の不二のね」という和歌を詠み、これが霊元院の目に留まります。彼の作品は「一条の今西行」と称され、その評価は高まりました。また、彼は『水雲集』という歌集を編纂しており、当時の上方地下歌人の中でも特に際立った存在でした。

著作

宣阿はその業績において、特に『陰徳太平記』の著者として知られています。この書は、彼の父にあたる香川正矩が執筆した原典『陰徳記』を受け継いだもので、彼も京都に留学した後にその執筆を続け、享保元年（1716年）には出版の許可を得ました。享保2年（1717年）にはいよいよ出版が実現します。

宣阿の著作は以下の通りです。

• - 『陰徳記自序』
• - 『陰徳太平記』
• - 『草庵和歌集蒙求諺解』
• - 『水雲集』

これらの作品を通じて、彼がどれほど深い文学的な理解を持っていたのか、またその詩作に対する情熱や思いがどのように表現されているかが伺えます。

参考資料

宣阿に関する情報は多くの研究や著作に記されています。特に、笹川祥生・松田修による『正徳二年板本 陰徳太平記』や、渡辺隆一の『歌人梅月堂宣阿』、上智大学の国文学論集に言及された神作研一の論文などが参考にされています。また、香川氏やその歴史的背景に関する資料も多く存在し、宣阿の人生や業績を理解するためにはこれらの資料が不可欠です。

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