室井力

室井力（むろい つとむ）

室井力は、1930年11月1日に岡山県で生まれ、2006年6月8日に没した、日本の著名な法学者です。名古屋大学の名誉教授として、行政法の分野で多大な貢献をしました。彼の専門は行政法であり、特に地方自治における住民の権利と行政改革に深い関心を持っていました。

学歴と職歴

室井力は、岡山大学法文学部を卒業後、京都大学大学院法学研究科に進み、1962年に博士課程を修了。同年、法学博士（京都大学）の学位を取得しました。1968年には名古屋大学法学部の教授に就任し、1993年に定年退官するまで、多くの学生を指導しました。退官後は名古屋大学の名誉教授となり、名古屋経済大学の教授としても教鞭を執りましたが、2001年に退職しました。

行政法研究への貢献

室井力は、住民のための地方行政改革を強く提唱し、情報公開条例のモデルを提示するなど、行政の透明性と住民参加の促進に尽力しました。彼の研究は、単なる理論的な探求にとどまらず、現実の行政改革に大きな影響を与えました。

主要な著書と業績

室井力は、行政法の分野で数多くの著作を発表しました。以下に主な著書を挙げます。

『特別権力関係論 ドイツ官吏法理論史をふまえて』（1968年）
『現代行政法の原理』（1973年）
『現代行政法の展開』（1978年）
『公務員の権利と法』（1978年）
『行政改革の法理』（1982年）
『室井力が語る行政法再入門 行政法の基本原理・行政組織法編』（1988年）
『行政の民主的統制と行政法』（1989年）
『市民のための地方行政改革』（1991年）
『公共性論と自治体立法の展開 市民的生存権的視点から』（1992年）
『自治体情報公開のすすめ モデル条例とその活用』（1999年）

また、共編著としても多数の著作があり、行政法学の発展に大きく貢献しました。

『行政法判例』（1971年）
『行政法判例集 演習研究』（1973年）
『行政法の基礎』（1977年）
『教育法の基礎』（1978年）
『行政法を学ぶ』（1978年）
『地方公務員法』（1978年）
『地方自治法』（1978年）
『コンメンタール地方自治法』（1979年）
『行政事務再配分の理論と現状』（1980年）
『行政法』（1980年）
『現代行政法入門』（1981-82年）
『臨調行革の構図』（1982年）
『行政改革と公務員の権利』（1985年）
『現代地方自治法入門』（1985年）
『行政救済法』（1986年）
『講座地方自治と住民 暮らしのなかの権利を考える』（1988年）
『行政法100講』（1990年）
『資料現代行政法』（1991-92年）
『行政法 基礎演習』（1993年）
『地方自治体と行政手続』（1996年）
『行政手続法・行政不服審査法』（1997年）
『教育基本法歴史と研究』（1998年）
『新現代地方自治法入門』（2000年）
『新現代行政法入門』（2001-04年）
『日本における地方自治の探究』（2001年）
『現代自治体再編論 市町村合併を超えて』（2002年）
『住民参加のシステム改革 自治と民主主義のリニューアル』（2003年）
『行政事件訴訟法・国家賠償法』（2004年）

これらの著作は、行政法の理論的な解釈だけでなく、実際の行政運営における課題解決に貢献し、現代行政法の発展に大きな影響を与えました。

記念論集

室井力の業績を記念して、以下の論集が刊行されています。

『現代行政法の理論 室井力先生還暦記念論集』（1991年）
『公共性の法構造 室井力先生古稀記念論文集』（2004年）
* 『行政法の原理と展開 室井力先生追悼論文集』（2012年）

これらの論集は、室井力の学問的遺産を後世に伝える重要な資料となっています。

室井力の研究と活動は、日本の行政法学、そして地方自治の発展に不可欠なものであり、その思想は現代の行政改革にも大きな影響を与え続けています。

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