室賀厚

室賀 厚（むろが あつし）は、1964年5月18日に大阪府で生まれた日本の映画監督です。明治大学商学部を卒業しています。

幼い頃から映像の世界に惹かれていた室賀氏は、高校時代にはすでに自主製作の8ミリ映画を精力的に撮影していました。大学に進学後もその情熱は冷めることなく、明治大学の映画研究会に所属。この映画研究会で、後に監督として活躍する大川俊道氏と出会い、師事する機会を得ました。

大学卒業後は、ジャパンホームビデオ（JHV）に入社し、会社員としてのキャリアをスタートさせますが、仕事の傍らで自主製作映画の監督や脚本執筆を継続。映像づくりへの意欲を持ち続けました。

彼の才能が開花するきっかけとなったのは、1987年に開催された集英社主催の「ビジネスジャンプ映像大賞」です。このコンテストで、室賀氏が自主製作した短編映画『HELP ME!』が見事グランプリを獲得。この受賞が、商業映画の世界への扉を開くことになります。同年、JHVがオリジナルビデオ（Vシネマ）事業に参入するにあたり、その第1弾作品として企画された『ブローバック・真夜中のギャングたち』の監督に抜擢され、商業監督としてのデビューを飾りました。

Vシネマの世界で実績を積んだ室賀氏は、1995年には松竹映画『SCORE』でついに劇場映画に進出します。この作品は、アクションシーンを多用しながらも、直接製作費をわずか3000万円に抑えた「超低予算アクション映画」として注目を集めました。限られた予算の中でクオリティの高いエンターテインメントを実現したことは、その後の彼のキャリアにおいて重要な評価点となります。

『SCORE』以降も、室賀監督は劇場映画とVシネマの両方で精力的に活動を続けています。劇場公開作品としては、『THE GROUND 地雷撤去隊』、『JUNK 死霊狩り』、人気漫画の実写化である『キャプテン』や『湾岸ミッドナイトTHE MOVIE』、さらには『復讐したい』や『デリバリー』、『ランサム』といった比較的新しい作品まで多岐にわたります。Vシネマにおいては、『ブローバック』シリーズの続編や、『DOG FIGHT 野良犬たちの挽歌』、『悪党ジョーカー』、『人生逆転ゲーム』シリーズ、『狼の流儀』シリーズなど、アクション、バイオレンス、サスペンスといったジャンルを中心に、数多くのヒット作、話題作を手掛けてきました。

また、映像監督としてだけでなく、活動の幅は広く、WEB配信ドラマ『893239』の監督を務めたほか、テレビアニメ『マシンロボ クロノスの大逆襲』や『Bugってハニー』では脚本家としても参加しています。

現在は、かつて師事した大川俊道氏、そして脚本家の柏原寛司氏と共に設立した制作会社「KOM PICTURES」を活動の拠点としています。インディーズから商業作品、劇場公開、Vシネマ、WEB、アニメと、多様なメディアとジャンルを横断してきた室賀厚監督は、日本のエンターテインメント映像界において、独自の視点と確かな手腕で、多くの作品を生み出し続けています。特に、低予算という制約の中でも質の高い作品を創出する能力には定評があり、今後の活動にも引き続き期待が寄せられています。

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