宮原民平

宮原民平（みやはら みんぺい、1884年 - 1944年）は、日本の東洋学者であり、教育者でした。彼は、佐賀県多久市で生まれ、順天中学校を経て、台湾協会学校（現在の拓殖大学）に進学しました。大学では中国語学を専攻し、その在学中には日露戦争に陸軍省学生通訳官として従軍するという経験も持ちました。1906年に台湾協会専門学校を卒業後、母校の教員として教壇に立ち、その後も立教大学や東京帝国大学で教鞭を執りました。1939年には、拓殖大学の学監に就任し、大学運営にも携わりました。1944年に肝臓がんで亡くなるまで、教育者、研究者として活躍しました。

宮原の専門は中国文学であり、特に中国の俗文学（白話文学）に深い関心を持って研究していました。しかし、台湾協会専門学校が「拓殖経営に資する機関」として設立された背景から、実務で使える中国語を学生に効率的に習得させるための教材開発や中国語教員の育成にも力を注ぎました。彼の教育への情熱は、学生たちが短期間で実践的な中国語能力を身につける上で重要な役割を果たしました。

また、宮原は拓殖大学の校歌を作詞したことでも知られています。これは、彼の文学的な才能と大学への貢献を示すものでしょう。彼の著作としては、『支那の秘密結社』、『支那国音字典』（土屋明治との共著）、『西廂歌劇』（金井保三との共著）などがあり、中国文化に関する研究成果を広く発表しています。

宮原の長男である宮原将平は物理学者であり、北海道大学教授を務めました。彼の学問的才能は、息子にも受け継がれていたと言えるでしょう。

宮原民平は、中国文学研究者としてだけでなく、教育者としても多大な貢献をしました。実用的な中国語教育の先駆者として、多くの学生を育成し、その功績は今日においても高く評価されています。彼の研究は、中国文学、特に俗文学研究に新たな視点をもたらし、後世の研究者たちに大きな影響を与えました。また、拓殖大学校歌の作詞者として、彼の名前は大学の歴史に深く刻まれています。宮原民平は、学問と教育の両面で、その生涯を通じて社会に貢献した人物でした。

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