宮城まり子のチャリティーテレソン

『ありがとう！ まり子のチャリティーテレソン』

『ありがとう！ まり子のチャリティーテレソン』は、1975年3月21日から22日にかけて、近畿放送（現：KBS京都）で放送された、日本初の25時間チャリティーテレビ番組です。当時、女優であり、肢体不自由児の社会福祉施設「ねむの木学園」を主宰していた宮城まり子さんが司会を務めました。

番組の概要

この番組は、身体障害者の社会参加を広く呼びかけることを目的とし、特に京都府内における障害者リハビリテーションセンターの建設を主な目標としていました。テレビとマラソンを組み合わせた「テレソン」という形式は、当時、オランダやアメリカでは実施されていましたが、日本では初の試みでした。近畿放送は独立UHF局でありながら、番組中にCMを一切入れず、チャリティーに特化した放送を行いました。

宮城まり子さんは、自身の誕生日である3月21日の京都新聞朝刊に掲載された近畿放送の全面広告ページで、このチャリティーテレソンのきっかけについて語っています。1974年に参加した国際会議で、オランダの福祉施設園長が障害児のために23時間チャリティーマラソンを実施したことを知り、感銘を受けたそうです。そして、「日本でも、福祉のためにテレビ番組を犠牲にしてまで国民に訴えることができるだろうか」と考え、近畿放送に25時間のテレソンを提案し、実現に至りました。

社会的影響

番組は大きな反響を呼び、視聴者からの寄付金は4600万円を超えました。近畿放送の親会社であり報道協定を結んでいた京都新聞も、この反響を大きく報道。募金受付電話には1万件を超える問い合わせや激励が殺到し、回線がパンクするほどでした。この番組は、1975年のギャラクシー賞年間優秀賞を受賞しました。

その後の展開

6年後の1981年には、近畿放送の開局30周年と愛称「KBS京都」の制定、そして国際障害者年を記念して、さらに5時間長い30時間の『まり子の30時間チャリティーテレソン』が開催されました。この時も、京都府内の障害者リハビリセンター建設を主な目的とし、視聴者からの寄付金を募りました。

また、近畿放送ではこの翌年より、障害者福祉をテーマにした『かたつむり大作戦』という番組を開始しています。

プログラム内容

番組は、討論会、コンサート、映画上映、チャリティーオークション、スポーツ中継など、多岐にわたる内容で構成されていました。

3月21日

0:00-1:00：オープニングセレモニー「まり子のテレソンを語る」基調講演（手話付き）
1:00-2:30：討論会「まり子と若者・共に生きる」（手話付き）
2:30-4:00：「真夜中のコンサート」
4:00-6:00：映画「日曜日の朝がやってきた」
6:00-6:15：京の夜明け
6:15-7:20：まり子のフリータイム
7:20-8:00：討論会「京都のリハビリテーション構想」
8:00-8:45：KBSエリアスコープ
8:45-9:20：チャリティーブレーク
9:20-10:00：討論会「日本の福祉政策の現状」
10:00-11:00：海外取材フィルム「高福祉国を訪ねて・西ドイツ、イギリス」
11:00-11:30：討論会「ハンディキャップはつくられている」
11:30-12:00：聞いてください、聞かせてください
12:00-12:20：福祉について対談
12:20-13:30：討論会「お母さんと一緒に」
13:30-15:30：日本サッカーリーグチャリティー練習試合中継
15:30-16:00：福祉の風土づくり
16:00-18:00：チャリティーオークション
18:00-18:10：KBSエリアスコープ
18:10-18:50：討論会「リハビリテーションの問題」（手話付き）
18:50-19:10：チャリティーブレーク
19:10-19:30：まり子「ねむの木の詩」を語る
19:30-21:00：映画「ねむの木の詩」
21:00-21:30：まり子の一人しゃべり
21:30-22:00：討論会「勇気ある人生」
22:00-23:30：チャリティースペシャル
23:30-23:45：チャリティーブレーク
23:45-3月22日0:30：総括討論会「福祉の総括」

3月22日

0:30-1:00：クロージングセレモニー

協賛スポンサー

多くの企業が協賛し、このチャリティーテレソンを支えました。

AIU（現・AIG損保）
アサヒビール
十條キンバリー（現・日本製紙クレシア）
堀内伊太郎商店（現・浅田飴）
ナスステンレス製作所（現・ナスラック）
カゴメ
ロッテ商事
松下電器産業（現・パナソニック）
明治乳業（現・明治）
SEIKO（服部時計店。現・セイコーホールディングス）

参考文献

宮城まり子『まり子のテレソン』三笠書房、1975年。
NHK総合放送文化研究所 編『テレビ・ジャーナリズムの世界 : 現場からの発想』日本放送出版協会、1982年。

関連項目

日本の長時間特別番組一覧

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