宮城ライブ 〜明日へのマーチ!!〜

桑田佳祐 宮城ライブ〜明日へのマーチ!!〜：希望の響きと復興への祈り

2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。この未曽有の大災害は、日本全国に深い悲しみと衝撃を与えました。多くの人々が被災し、生活の基盤を失いました。音楽界にも大きな影を落とす出来事となり、多くのアーティストが被災地支援のために動き出しました。

その中で、桑田佳祐は、被災者への深い共感と、復興への強い意志を胸に、特別なライブを開催することを決意します。それが、2011年9月10日、11日に宮城県・セキスイハイムスーパーアリーナで行われた「桑田佳祐 宮城ライブ〜明日へのマーチ!!〜」です。

このライブは、単なる音楽イベントではありませんでした。それは、被災者へのエールであり、希望の灯をともすための祈りの集いでした。桑田佳祐自身、前年に食道がんで闘病生活を送った経験から、人の命の尊さ、日々の暮らしの大切さを改めて痛感しており、震災のニュースには心を深く揺さぶられました。

ライブの収益の一部は、日本赤十字社と地方公共団体に寄付され、被災地の復興支援活動に役立てられました。また、このライブは、東北出身の著名人にも大きな感動を与えました。サンドウィッチマンの伊達みきおさんはブログでこのライブの感動を綴り、そのブログ記事は桑田佳祐本人の耳にも届きました。

さらに、2021年に公開された映画『護られなかった者たちへ』の制作スタッフもこのライブを鑑賞し、「故郷」「月光の聖者達（ミスター・ムーンライト）」のパフォーマンスに感銘を受けました。その感動が、同映画の主題歌を桑田佳祐にオファーするきっかけとなり、「月光の聖者達（ミスター・ムーンライト）」が主題歌に採用されることになったのです。

ライブの内容は、桑田佳祐の代表曲に加え、東北地方にゆかりのある楽曲も織り交ぜられています。宮城県民謡「大漁唄い込み」をユーモラスにアレンジし、自身の楽曲とつなげるなど、桑田佳祐らしい演出が光ります。また、原由子さんとのデュエットや、サザンオールスターズの楽曲も演奏され、観客を魅了しました。

さらに、会場周辺には「虹の広場」と呼ばれる縁日会場が設けられました。そこには、東北各地からの出店が並び、全国からの支援に感謝の気持ちが込められていました。東北各地から集まった演奏家と“宮城スペシャルフィルハーモニー交響楽団”を結成し、地域との協働も図られました。

このライブは、単に音楽を楽しむ場ではありませんでした。それは、被災者と一体となり、共に未来へ向かうための、大きなメッセージが込められた、感動的なイベントでした。東北地方の復興への願い、人々の繋がり、そして希望の光が、このライブビデオを通して、鮮やかに伝わってきます。

ライブのセットリストは、オープニングをさとう宗幸の「青葉城恋唄」で始め、被災者への黙祷からスタート。定番曲からサザンオールスターズの楽曲、そして新曲「明日へのマーチ」などを織り交ぜ、最後は「希望の轍」で締めくくられています。「故郷」の演奏シーンは、観客とステージが一体となった感動的な瞬間として、桑田自身も記憶に残る出来事として語っています。

このライブビデオには、本編に加え、ドキュメンタリー映像も収録されています。桑田佳祐の想いや、ライブに携わった人々の努力、そして被災地の人々の力強い姿が映し出され、見る者の心を深く揺さぶります。

2011年11月16日にDVD、11月23日にBlu-ray Discで発売され、オリコン週間DVDランキングで初登場1位を獲得するなど、高い評価を受けました。音楽史に刻まれた歴史的なライブの記録として、これからも多くの人の心に響き続ける作品でしょう。

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