宮城県図書館

宮城県図書館：歴史と文化を紡ぐ知識の殿堂

宮城県図書館は、仙台市泉区に位置する県立図書館です。その歴史は古く、明治14年(1881年)に宮城師範学校内に設置された宮城書籍館にまで遡ります。以来、時代と共に発展を続け、現在では約115万点もの貴重な資料を所蔵する東北地方を代表する図書館の一つとして、多くの人々に愛されています。

明治時代：師範学校から県立図書館へ

宮城県図書館の前身である宮城書籍館は、明治13年(1880年)に宮城師範学校内に書籍縦覧室が設置されたことが始まりです。当時の校長、和久正辰氏の尽力により、社会の図書館ニーズの高まりを県令に訴え、翌年に宮城書籍館が正式に発足しました。当初は館内閲覧のみでしたが、明治15年(1882年)からは館外貸出も開始され、利用者の増加と共に蔵書も充実していきました。明治26年(1893年)には師範学校から独立し、明治40年(1907年)には図書館令に基づき、宮城県立図書館と改称されました。

明治42年(1909年)には、巡回文庫事業が開始。当初は限られた郡のみでしたが、翌年には県内全域に拡大され、図書館の活動範囲は大きく広がりました。利用者数は増加の一途を辿り、大正元(1912)年には、斎藤善右衛門氏らの多額の寄付もあり、現在の勾当台公園南辺に新館が建設されました。この新館は木造2階建てで、242席の閲覧席と赤レンガ造りの書庫を備えた、当時としては最先端の施設でした。

この時代には、理髪店や工場への図書貸出（理髪店文庫・工場文庫）、青少年読書会、小学生童話会などの活動も盛んに行われました。また、蔵書も充実し、『封内名蹟志』の原本を含む甘柿舎文庫や、今泉篁洲文庫など、貴重なコレクションが次々と収蔵されました。大正8年(1919年)には、宮城県図書館と改称されました。

戦時中と戦後の復興

太平洋戦争中は、貴重な図書の疎開が行われましたが、昭和20年(1945年)の仙台空襲により、多くの資料が焼失するという大きな被害を受けました。戦後、養賢堂の跡地に新館が建設され、昭和24年(1949年)に落成。その後も、小西文庫、伊達文庫、大槻文庫などの寄贈を受け、蔵書の充実を図りました。

しかし、昭和30年代後半には建物の老朽化が深刻になり、昭和43年(1968年)には榴岡公園隣接地に新館が建設されました。そして平成9年(1997年)には、現在の仙台市泉区紫山にさらに新たな図書館が完成。最新の設備を備えた現在の図書館は、150万冊の収蔵能力を誇ります。

貴重なコレクションと充実した施設

宮城県図書館には、伊達文庫、小西文庫、青柳文庫、養賢堂文庫、大槻文庫、今泉文庫、出来文庫など、歴史的・文化的に貴重なコレクションが数多く所蔵されています。特に伊達文庫は、仙台藩ゆかりの貴重な資料を数多く含み、図書館の重要な財産となっています。これらのコレクションは、デジタルアーカイブ化も進められ、より多くの人に利用できるよう工夫されています。

現在の図書館は、金属光沢のある特徴的な建物で、広々とした閲覧室、子供図書室、視聴覚資料室、展示室などを備えています。また、周辺には遊歩道や緑地も整備され、自然豊かな環境の中で読書を楽しむことができます。学都仙台オンライン目録(OPAC)によるインターネット検索にも対応しており、県内外からのアクセスも可能です。

宮城県図書館は、単なる蔵書保管施設ではなく、地域社会の学習拠点、文化交流の場として、これからも発展を続けるでしょう。その歴史と文化、そして未来への貢献に期待がかかります。

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