仙台空襲

仙台空襲：焦土と化した都市と、その復興

1945年（昭和20年）7月10日未明、第二次世界大戦末期の日本において、アメリカ軍による仙台空襲が発生しました。この空襲は、東北地方最大の都市への空襲として、甚大な被害をもたらしました。

空襲への道筋

太平洋戦争中、初期の日本本土[[空襲]]は、航続距離の短い爆撃機によるもので、軍需工場などが主な標的でした。しかし、1944年6月にアメリカ軍がマリアナ諸島を占領すると、航続距離の長いB-29爆撃機による日本本土全土への空襲が可能となりました。さらに、無差別爆撃を主張するルメイ将軍が司令官に就任したことで、都市部への無差別爆撃が激化しました。

仙台は、工業地帯としての重要性は低かったものの、密集した住宅街と、延焼を防ぐための広い道路や広場が少ないことから、焼夷弾攻撃による効果が期待できるとアメリカ軍は判断しました。空襲に先立ち、アメリカ軍は「仙台よい町 森の町 7月10日は灰の町」というビラを散布し、空襲を予告したと伝えられています。

7月9日、テニアン島から131機のB-29が出撃。不具合で引き返した機を除く123機が仙台上空に到着しました。仙台市では空襲警報の発令と解除が繰り返された後、7月10日0時3分頃、空襲が始まりました。

集中攻撃と甚大な被害

B-29は高度約3,000メートルから、約2時間にわたって焼夷弾を投下しました。中心市街部は瞬く間に火の海と化し、焦土と化しました。攻撃目標は、新伝馬町と東三番丁の交点付近を中心とした市街地でした。

仙台市役所の報告によると、被災戸数は1万1933戸、被災人口は5万7321人に上り、死者987名、重傷者260名、軽傷者1423名、行方不明者50名という甚大な被害となりました。その後、犠牲者数は精査を経て、1064名と推定され、身元不明者などを含めると335名を加えた合計1399名に上るとされています。犠牲者の多さから、遺体の多くは広瀬川の河川敷で火葬されました。

空襲後には、「仙台駅から西公園が見えるようになった」「肴町から仙台駅が見えた」といった証言が残されています。市街地だけでなく、仙台城の大手門と脇櫓、伊達政宗の霊廟である瑞鳳殿も焼失しました。国宝は、大崎八幡宮のみが残りました。一方、東京第一陸軍造兵廠仙台製造所（現在の陸上自衛隊仙台駐屯地）は被害を免れました。アメリカ軍の損失は、離陸失敗による1機のみでした。

仙台空襲は、和歌山、堺、岐阜、四日市など複数の都市への同時空襲の一環でした。投下された焼夷弾は、1万2961発、約911.3トンにのぼりました。

戦災復興

空襲により甚大な被害を受けた仙台市は、復興に向けて動き出しました。仙台市電は翌日から一部区間で運転を再開し、復興に貢献しました。しかし、復興は容易ではありませんでした。1945年11月には、被災者たちが戦災者大会を開き、物資の優先配布や住宅建設などを求める声があがりました。

復興事業は、宮城県と仙台市の連携によって進められました。1946年2月、仙台市会は市が主体となって復興事業を進めることを決定。同年4月には「仙台市戦災復興委員会」が設置され、具体的な復興計画が策定されました。青葉通りや広瀬通りなどの大通り建設、西公園や勾当台公園などの整備などが行われました。住宅不足は深刻で、防空壕に住み続ける被災者もいました。

土地区画整理事業は、中心市街地423.5ヘクタールを対象として開始されましたが、一部変更があり、最終的には291.1ヘクタールで実施されました。1961年3月に工事がほぼ完了し、1977年10月に精算事務が完了しました。この事業により、仙台市街地の面影は一新されました。

復興事業の一環として、都市部の一部道路の無電柱化、寺院や学校などの移転、仙台市動物園の移転なども行われました。

空襲の記憶

仙台市戦災復興記念館では、仙台空襲の状況や復興の過程が展示されています。「戦災死歿精霊供養碑」やブロンズ像「奈津子・十一才の夏」など、空襲の犠牲者を追悼する施設も存在します。

仙台市とその周辺地域では、仙台大空襲以外にも、塩釜空襲、蔵王へのB-29墜落事故、岩沼飛行場への空襲、終戦間際の艦載機による銃爆撃など、数多くの空襲被害を受けています。

仙台空襲は、都市の破壊と復興、そして平和の尊さを私たちに伝える、重要な歴史的事実です。

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