宮崎世民

宮崎世民の生涯と日中友好運動

宮崎世民（みやざき せいみん）は、1901年10月17日に生まれ、1985年8月19日に亡くなった日本の政治家であり、日中友好協会の理事長を長年務めました。彼は宮崎民蔵の子息であり、宮崎世龍の兄、さらに宮崎滔天の甥でもあります。熊本県に生まれ育ち、熊本県立玉名中学校を1919年に卒業した後、1924年に東京帝国大学法学部を卒業しました。

早いうちから、宮崎は歴史的出来事に立ち会っています。1913年には、孫文が熊本県の宮崎家を訪れた際、宮崎がその隣に写る記念写真が残されています。このような背景を持ちながらも、彼は翻訳活動にも取り組み、著書『土地農民にかえる』などが知られています。

日中友好協会の設立と貢献

日中友好運動における宮崎の役割は非常に重要でした。彼は日中友好協会の設立に尽力し、1963年にはその第13回全国大会で専従の理事長に就任しました。この役職は、彼が17年間にわたって務めることになります。当時は岸内閣や佐藤内閣の反中国政策の影響で、中華人民共和国との民間交流が途絶えていたため、友好の促進が求められていました。

設立当初、日中友好協会には日本共産党の活動家が多く参加していましたが、1966年に宮本顕治と毛沢東の会談が決裂すると日本共産党は日中友好運動に介入し、協会の中での対立が生じました。これにより、日中友好協会は分裂し、宮崎は正統な本部に所属して組織の立て直しに尽力しました。しかし、文化大革命やベトナム戦争の影響で日中友好運動は厳しい状況に直面しました。

組織内の対立と復興

日中友好協会（正統）本部では、日本共産党（左派）が強い影響力を持っていましたが、社会党系の黒田寿男会長との対立が浮上しました。この対立によって彼は政治派閥の中立を保ちつつも、活動を続けなければならない状況に置かれました。最終的に、1970年10月には北京での会議が開催され、周恩来の仲介のもとで再統合が模索され、1971年に団結が果たされました。

批判と評価

宮崎が君臨した日中友好協会（正統）本部は、分裂後にその名称を巡って批判される場面もありました。彼の参加した団体を「脱走派」と呼ぶ者もおり、宮森繁はその批判を展開しました。彼はまた、文化大革命や他の層における混乱を背景に、分裂した協会の混乱を批判的に指摘しました。その内容は、宮崎の回想録からの引用も多く含まれています。

宮崎世民の遺産

彼の著作『宮崎世民回想録』は1984年に発表され、彼の豊かな経験と考えを引き出しています。政治的な風雲の中で、彼がどのように友好関係の構築に貢献したのか、その道のりが詳細に描かれており、後世に語り継がれるべき貴重な文献です。彼の活動は日本と中国の交流の礎となり、彼の貢献は今もなお評価され続けています。

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