宮崎信義

宮崎信義について

宮崎信義（みやざき のぶよし）は、1912年2月24日に滋賀県で誕生し、2009年1月2日に亡くなるまで、日本の短歌界において大きな影響を与えた歌人です。彼は特に口語自由律短歌の発展に尽力し、新短歌運動の中心人物として知られています。また、短歌雑誌「未来山脈」の代表や京都歌人協会の委員長、新短歌人連盟の会長を務めるなど、業界での地位も確立していました。

幼少期と教育

宮崎は、滋賀県坂田郡息長村箕浦、今の米原市で生まれました。彼の幼少期は、父を殉職で失い、母に育てられるという苦しい背景がありました。このような家庭環境は、宮崎の心に深く影響し、後の詩作にも反映されることになります。彼は、彦根中学校在学中に短歌に触れ、平井乙磨の推奨により「詩歌」という短歌の会員となりました。

その後、横浜の専門学校に進学し、そこで多くの同じ志を持つ仲間と出会いました。歌会へ参加していく中で、作家としての活動を始めることになります。卒業後は大阪鉄道局に就職し、仕事の傍らで短歌の執筆を続けました。

戦争と短歌

彼の人生は、戦争によって大きく変わります。昭和18年に召集され、中国に出征。戦場での過酷な経験は、彼の第二歌集『夏雲』に表現されました。この経験を経て彼は、短歌の表現においてよりリアルな感情を求めるようになります。

戦後、宮崎は日本全国の自由律歌人に呼びかけ、短歌雑誌「新短歌」を開くことで新たな試みを始めました。彼はまた、国有鉄道に勤務し、神戸駅長を経て退職。その後も短歌を通じて表現活動を続けました。

作風と評価

宮崎信義の作風は、昭和初期の新興短歌運動において、口語自由律の短歌を用いて無意識なるものを引き出すシュルレアリスム的アプローチを魅力としていました。その後、彼はリアリズム重視の短歌へと移行し、内面的な葛藤を素直に表現するようになります。彼は、現代に生きる人々の感情を短歌で伝えることが重要であると考えており、その信念を作品に込めました。

代表的な作品には、次のようなものがあります：

• - 「安らぎを与えよ　魚屋に魚がならび　排水溝に水が流れる」
• - 「青空をつつみこんで山がふくれる山よりほかにない」

このような作品を通じて、宮崎は日本の短歌に新たなリリシズムをもたらしました。彼の作品はシンプルで親しみやすくありながらも、深い情緒に満ちています。

著作と受賞歴

宮崎は多くの短歌集を出版しましたが、主な作品には『流域』や『夏雲』、そして代表作「いのち」などがあります。彼は1995年に短歌研究賞を受賞し、2005年には日本短歌雑誌連盟から特別功労賞を贈られました。

最後に

宮崎信義は2009年に自宅で食道癌により亡くなりましたが、彼の短歌は今でも多くの人々に愛され、影響を与え続けています。彼は、口語自由律短歌の「中興の祖」として、その存在は日本の短歌の歴史において重要な位置を占めています。彼の作品とその背後にある思想は、今後も短歌文学を支える土台となるでしょう。

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