宮崎勝次

宮崎 勝次（みやざき かつじ）

1914年（大正3年）1月2日に誕生し、没年は不明の日本の実業家です。主に東洋ラジエーター株式会社（現在の株式会社ティラド）において常務取締役などの要職を歴任しました。また、戦時中には宮崎航空工業の専務取締役を務めています。著名な家族としては、アニメーション監督の宮崎駿氏が次男にあたり、さらに版画家の宮崎敬介氏、そして同じくアニメーション監督の宮崎吾朗氏が孫にあたります。

生い立ちと学歴

宮崎勝次は、現在の東京都墨田区にあたる東京府東京市墨田区の出身です。家系の二代目にあたる初代宮崎富次郎氏の次男として生まれました。兄は、後に東洋ラジエーターの社長を務めた2代目宮崎富次郎氏です。学業においては、1934年（昭和9年）に早稲田大学専門部商科を卒業しました。

実業家としての歩み

実業家としてのキャリアは、戦前から航空機製造分野で始まりました。自らが経営する「宮崎飛行機」という工場の工場長として、第二次世界大戦中の日本の主要な戦闘機であった零式艦上戦闘機（零戦）の風防など、重要な航空機部品の製造を担いました。

戦後も多岐にわたる企業経営に携わります。1950年（昭和25年）には四菱産業の専務取締役に就任。続いて1957年（昭和32年）には松菱金属工業（現在の株式会社日鉄プロセッシング）の取締役に名を連ねました。

その後、東洋ラジエーター株式会社へ移り、1961年（昭和36年）に監査役に就任。経営陣へと進み、1963年（昭和38年）には取締役、さらに1966年（昭和41年）には常務取締役へと昇進し、同社の経営を牽引する立場となりました。1978年（昭和53年）以降は非常勤取締役として引き続き経営に関与しました。

人物

信仰していた宗教は天台宗です。趣味としては囲碁を好み、三段の腕前を持っていました。また、小唄も嗜んでいました。

戦前から飛行機作りに深く関わっていた人物ですが、その人物像について、次男であるアニメーション監督の宮崎駿氏は独特な見方を語っています。駿氏によれば、父親は「享楽的」な性格であったとのことです。また、戦闘機の製造という時代の最先端かつ緊迫した仕事に携わりながらも、社会の動向や世の中の出来事に対してはどこか他人事のような態度をとっていたと述べています。こうした父の生き方や考え方に対し、思春期を迎えた息子・駿氏との間では激しい口論となることもあったというエピソードは、父と子の間の価値観の違いや関係性の一端を示すものとして知られています。

家族

妻は美子氏（1915年（大正4年）生まれ）で、山本又左衛門氏の長女にあたります。四人の息子をもうけました。

長男は新氏（1938年（昭和13年）生まれ）で、学習院大学を卒業後、会社経営に従事しています。

次男は、世界的なアニメーション監督である宮崎駿氏（1941年（昭和16年）1月5日生まれ）です。学習院大学政経学部を卒業しています。

三男は裕氏（1944年（昭和19年）生まれ）で、慶應義塾大学を卒業し、かつて三菱レイヨンに勤務していました。

四男は至朗氏（1946年（昭和21年）生まれ）で、彼も慶應義塾大学を卒業後、以前は株式会社博報堂で働いていました。

孫には、次男・駿氏の子である版画家の宮崎敬介氏と、アニメーション監督として活躍する宮崎吾朗氏がいます。

参考文献

帝国秘密探偵社 編『大衆人事録 第22版 東京篇』帝国秘密探偵社、1962年
稲門紳士録刊行会 編纂『稲門紳士録』稲門紳士録刊行会、1980年

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