宮崎街道 (岡崎市)

宮崎街道：歴史と自然が織りなす道

宮崎街道は、愛知県岡崎市宮崎町へ至る街道です。現在の愛知県道37号岡崎作手清岳線が、その道筋をほぼ踏襲しています。かつては主要な道でしたが、「宮崎街道」という名称は現在ではあまり知られていません。

街道の概要

岡崎市樫山町から国道473号（樫山街道）を東へ進み、男川沿いに宮崎町方面へ向かう道が宮崎街道です。道路改良により、昔のような険しさは感じられませんが、宮崎の古い街並みを抜け、闇刈渓谷を経て本宮山へ、または九十九折の田原坂を越えて新城市作手地区へと繋がっています。

明見坂の改修

かつて、明見（岡崎市明見町）から淡渕（岡崎市淡渕町）への道は「明見坂」と呼ばれる難所でした。牛馬車での通行が困難な急な山道でしたが、宮崎村初代村長の山本源吉と助役の河合和助が中心となり、道路改修が行われました。

崖を開削し、男川沿いに迂回するルートを造成することで、平坦な道が完成しました。工事費用は村民の反対もありましたが、山本村長の熱心な説得により実現。1893年（明治26年）に村債を完済し、土地の価値も向上しました。現在、明見坂には改修を記念する石碑が残されています。

本宮山道標

宮崎街道沿いには、本宮山への道標が残っています。特徴的なのは、道標上部に石の車輪がはめ込まれていることです。これは「後生車」と呼ばれ、回すことで来世の安楽を祈りました。道標には「右 本宮山」と大きく刻まれているほか、側面には「南無阿弥陀佛」、「左 をかさき」、「右 なつやま」などの文字が刻まれています。

道標は元々、街道沿いにありましたが、1892年（明治25年）の明見坂改修や県道開通により、現在の場所に移設されました。

接続する街道とその他の宮崎街道

宮崎街道は、以下の街道と接続しています。

樫山街道（岡崎市）
千両街道（豊川市）

また、豊川駅前から千両町を通り、杣坂峠を越える千両街道や、豊川市平尾町から萩町羽根を経て萩坂峠を越える道も、宮崎街道と呼ばれることがあります。これらの道は、かつて御馬湊への米の輸送に利用されました。

沿線・周辺

宮崎街道沿いには、豊かな自然や歴史的なスポットが点在しています。ハイキングや歴史散策を楽しむことができます。

参考文献

額田町史編集委員会『額田町史』1986年11月1日
音羽町誌編纂委員会『音羽町誌』1975年

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