宮崎謙太

宮崎謙太（みやざき けんた）は、1899年（明治32年）10月に福岡県で生まれ、1959年（昭和34年）に生涯を閉じた、日本の官僚です。内務省と文部省で要職を歴任し、佐賀県知事も務めました。彼の人生は、激動の時代における官僚の姿を映し出す鏡と言えるでしょう。

若き日の研鑽と官僚としての出発

宮崎は、第一高等学校を経て、1923年（大正12年）に東京帝国大学法学部法律学科（英法）を卒業しました。同年12月には高等試験行政科試験に合格し、東京市での勤務を経て、1926年（大正15年）に内務省へと転じました。石川県事務官を皮切りに、愛知県や神奈川県など各地で事務官を歴任し、その行政手腕を磨きました。

文部省での活躍と戦時下の地方行政

1939年（昭和14年）4月、宮崎は文部省に移り、書記官兼普通学務局学務課長に就任。その後も文部省大臣官房文書課長を務め、教育行政の中枢を担いました。その後、岩手県書記官・総務部長、東京都官房長、同長官官房財務課長を歴任し、地方行政にも深く関与しました。

佐賀県知事としての苦闘

1944年（昭和19年）8月1日、宮崎は佐賀県知事に就任。戦時体制下、県内の防衛強化や食糧確保、戦災対策といった困難な課題に奔走しました。1945年（昭和20年）8月12日には、佐賀県庁が空襲に見舞われ、庁舎の一部が爆破されるという惨事が発生。その際、宮崎は陣頭指揮中に負傷するという事態にも直面しました。終戦後の同年10月27日、宮崎は知事を依願免本官となり退官。その後、公職追放の対象となりました。

人となりと晩年

宮崎は、その人柄について「直情径行」と評されています。手柄は部下に譲り、失敗は自ら背負うという、古武士のような気概の持ち主でした。また、役所の地位を利用して私腹を肥やすようなことは一切せず、質素な生活を送りました。その清廉潔白さは、彼が病に倒れ、貧困の中で亡くなったという事実からも伺い知ることができます。彼の生き方は、現代においても多くの示唆を与えてくれるでしょう。

宮崎謙太は、激動の時代を駆け抜けた官僚として、その名と功績は後世に語り継がれるべき人物です。彼の生涯は、公務に対する責任感、そして清廉潔白な生き方の重要性を教えてくれます。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
人事興信所編『人事興信録』第14版 下、1943年。
熊埜御堂定『悲懐をやる』新生社、1968年。

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