宮川寅雄

宮川 寅雄の生涯と功績

はじめに

宮川寅雄（みやがわ とらお）は、1908年10月10日に宮城県仙台市で生まれた日本の美術史家であり、彼の号は「杜良」として知られています。彼の研究業績は主に東洋美術史に集中しており、また日中文化交流にも携わるなど多岐にわたる活動を展開しました。

早期の経歴

宮川は、1927年に早稲田第二高等学院に入学し、そこで早稲田大学の会津八一の指導を受けるようになります。以降、彼は八一教授の下で東洋美術史に対する理解を深めていきました。しかし、1930年に早稲田大学の政治経済学部に入学したものの、社会運動に関わった結果、1931年には退学を余儀なくされました。その後、日本共産党に入党し、反軍国主義の活動に積極的に参加するも、検挙され1940年に出獄。戦後も彼の政治活動は続き、1947年の参議院選挙では北海道から共産党の候補として立候補しましたが、惜しくも落選しました。

学問と研究

1947年以降、宮川は日本近代史研究会や文化史懇談会などの活動に参加し、学問の深化と社会への貢献を続けました。特に1956年には日中文化交流協会の創立に寄与し、1973年から副理事長、1979年には理事長に就任しました。彼のリーダーシップのもと、協会は日中友好と文化交流の促進に大きく貢献しました。また、1966年に和光大学が設立されると、宮川は人文学部芸術学科の教授に就任し、その後同学科の学科長にもなりました。

中国との関わり

1967年には中国で文化大革命が勃発し、これが原因で彼は共産党から除名されることになります。しかし、彼はその後も日本と中国の文化交流に熱心に取り組み続けました。1979年には和光大学を定年退任し、自らの学問的キャリアと社会活動を振り返る機会を得ました。

著作活動

宮川寅雄は数多くの著書や編著を発表しており、特に以下のような主要な著作が挙げられます。

• - 『北斎人物漫画』解題（岩崎美術社、1969）
• - 岩村透編『芸苑雑稿 他』（平凡社東洋文庫、1971）
• - 『カラー 会津八一 鹿鳴集 奈良』編（淡交社、1975）
• - 『新中国考古の旅』編（秋田書店、1975）
• - 『中国の美術と考古 新発掘報告』井上靖共編（六興出版、1977）
• - 『会津八一墨蹟集』編（新潟日報事業社、1978）
• - 岡倉天心著『茶の本』訳・解説（講談社文庫、1978）
• - 『秋艸堂印譜』編著（二玄社、1979）
• - 『西安碑林書道芸術』伏見冲敬共編（講談社、1979）
• - アルフレッド・バーンバウム著『Chinese painting』英訳（Weatherhill、1983）

これらの作品を通じて、宮川の美術史研究は国内外で高く評価され、彼の学問的な遺産は今もなお引き継がれています。

結論

1984年12月25日に逝去した宮川寅雄は、彼の生涯にわたる学問的な探求と社会的な貢献を通じて、日本の美術史と文化交流において不可欠な存在となりました。彼の業績は、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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