宮本憲一

宮本 憲一（みやもと けんいち）

生い立ちと教育

1930年2月19日、台湾の台北市で生まれた宮本憲一氏は、幼少期を台湾で過ごし、終戦後は日本本土に戻り石川県で育ちました。戦後の困難な状況ながらも、金沢二中（現在の金沢錦丘高等学校）に編入し、1950年には第四高等学校を卒業しました。大学受験に失敗しながらも、旧制名古屋大学経済学部に進学し、1953年に卒業。大学では経済思想史の講義受けて研究者を志すことになります。

経歴と学問の業績

卒業後、金沢大学で助手として働き始め、その後助教授、教授に昇進します。1961年に四日市公害問題に触れ、公害問題の研究を始める。1963年には、公害研究委員会を設立し、環境問題に関する先駆的な活動を行います。その後も多くの著作を発表し、「恐るべき公害」（1964年、共著）などがベストセラーとなりました。

1965年には大阪市立大学商学部に助教授として移籍。1972年に教授に昇格し、1991年には商学部長に就任しました。1994年からは立命館大学政策科学部教授として活動し、2001年から2004年まで滋賀大学の学長を務めました。

受賞歴

宮本氏は、2016年に『戦後日本公害史論』で日本学士院賞を受賞。金沢大学と大阪市立大学から名誉博士の称号も授与されました。

社会活動と研究の広がり

公共政策や地域経済に関する研究を行い、特に公害問題や環境問題に関しては数多くの意見を発表しています。政府や地方自治体の政策課題に対しても鋭い批評を行い、四日市公害を初めて広く紹介し、実際に原告側証人として立ち上がったことも知られています。また、沖縄やカナダの調査を通し、地域社会の課題解決にも積極的に関与してきました。

現在の活動

2021年12月、宮本氏が代表を務める「普天間・辺野古問題を考える会」は、新基地建設に反対する共同声明を発表し、環境問題の重要性を訴え続けています。今なお多方面での研究や社会活動に取り組む姿勢から、彼の学問は現在も多くの支持を集めています。

結論

宮本憲一氏は、日本の経済学界に多大な影響を与えた学者であり、特に財政学や環境問題に関する研究においては、古典的な視点と社会的な関心が融合した独自のアプローチを提示しています。彼の業績や活動は、今後の日本における環境政策や地域経済の発展に寄与することでしょう。

もう一度検索