宮田喜代蔵

宮田喜代蔵

宮田 喜代蔵（1896年1月23日 - 1977年7月7日）は、昭和期に活躍した日本の著名な経済学者です。長年にわたり神戸大学で教鞭を執り、同大学の名誉教授の称号を贈られました。また、日本の学術行政にも関わり、日本学術会議の会員も務めました。

若き日々から学究の道へ

1896年、現在の岡山市に生を受けた宮田喜代蔵は、地元の金川中学校（現在の岡山県立金川高等学校）で基礎教育を受けました。1914年に中学を卒業すると、経済学を志して神戸高等商業学校（現在の神戸大学）へと進学します。この神戸高商時代には、経済学者として知られる坂西由蔵に師事し、経済学の専門的な知識を深めました。1918年に同校を卒業した後も、さらなる学識の習得を目指し、東京商科大学（現在の一橋大学）の専攻部領事科に進みました。東京商科大学では、高名な経済学者である福田徳三のゼミに所属し、精力的に研究活動に取り組みました。福田ゼミでは、後に日本の経済学界で重要な役割を果たす赤松要、大熊信行、梅田政勝といった人々とも同期として交流しました。1921年に東京商科大学を卒業し、学究としての地歩を固めました。

経済学者としての歩みと主要な業績

大学卒業後、宮田喜代蔵は名古屋高等商業学校（現在の名古屋大学経済学部）の教授としてそのキャリアを開始しました。教育者として教壇に立つ傍ら、研究活動にも励みました。1922年には、日本政府からの命令を受けて欧米への留学機会を得ます。2年間、イギリス、ドイツ、アメリカといった経済先進国で、最新の経済学理論や研究動向を学びました。この海外での経験は、彼のその後の研究に多大な影響を与えたと言われています。帰国後も研究を続け、1940年にはその成果として学位論文『貨幣経済の本質に関する生活経済学的研究』を東京商科大学に提出し、経済学博士の学位を取得しました。この論文は、彼の貨幣経済に対する深い洞察を示すものとして評価されています。

1941年には、神戸商業大学（現在の神戸大学）へ転じ、教授として迎え入れられました。神戸大学では長年にわたり経済学の研究・教育に貢献し、多くの優秀な人材を育成しました。彼の門下からは、後に神戸大学長を務めた新野幸次郎のような著名な学者も輩出されています。また、教育・研究活動だけでなく、大学運営にも積極的に関与し、1954年からは神戸大学経済学部の学部長という重責を担いました。この間、日本の学術振興にも貢献するため、1950年より日本学術会議の会員を務め、学術政策に関わる提言などを行いました。

晩年と栄誉

1959年、宮田喜代蔵は神戸大学を定年退官し、長年の功績を称えられて名誉教授の称号を授与されました。退官後も研究活動を続けるとともに、日本の経済学界において重鎮として敬われました。長年にわたる学術研究と教育への貢献は高く評価され、1969年には勲二等瑞宝章を受章しています。

1977年7月7日、宮田喜代蔵はその生涯を閉じました。享年81歳でした。逝去と同時に、その多大な功績に対し、位階として従三位が追贈されました。彼の研究は、貨幣経済の本質に焦点を当てたものであり、今日の経済学においても示唆を与えるものとして記憶されています。教育者としても多くの門下生を育て、日本の経済学の発展に重要な足跡を残した人物と言えるでしょう。

彼の主要な著作については、詳細な情報はありませんが、経済学、特に貨幣経済に関する著作を多数発表していたことが知られています。

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