宮畑遺跡

宮畑遺跡（みやはたいせき）

宮畑遺跡は、福島県福島市岡島に位置する縄文時代の重要な遺跡です。この遺跡は、縄文時代中期（約4,500 - 4,000年前）、後期（約4,000 - 3,000年前）、晩期（約3,000 - 2,500年前）の3つの異なる時代のムラ（集落）の跡が複合しているという特徴を持っています。2003年には、その歴史的価値が認められ、国の史跡に指定されました。また、遺跡は都市公園（歴史公園）として整備され、「じょーもぴあ宮畑」として2015年（平成27年）に開園し、一般に公開されています。

遺構

宮畑遺跡からは、各時代の特徴的な遺構が発見されています。

縄文中期のムラ跡

縄文中期のムラ跡からは、約40棟もの竪穴建物が検出されています。この時代の建物は、屋根に土を盛り、内部には複式炉を備えていたと考えられています。特筆すべきは、検出された建物の半数に焼けた痕跡が見られることです。ムラの半数もの建物が焼失したという現象は、他の縄文中期の遺跡ではあまり見られず、宮畑遺跡の大きな謎の一つとなっています。

縄文後期のムラ跡

縄文後期のムラは、中期ムラとは連続性がないと考えられています。約4,000年前に、新たな人々がこの地に移住し、ムラを形成したと推測されています。この時期の建物には、地表面に石を敷き詰めた「敷石建物」と呼ばれる遺構がいくつか存在します。敷石建物は関東地方に多く見られるものであり、また、この時期の遺構から出土した土器群も関東地方の土器群と共通の特徴を多く持っています。これらのことから、この時期のムラは関東地方からの影響を強く受けていたと考えられています。その他、竪穴建物や埋甕（土器埋設遺構）なども検出されています。

縄文晩期のムラ跡

晩期のムラ跡からは、掘立柱建物が円形に配置された遺構が検出されています。中には、直径90センチメートルもの巨大な掘立柱を立てたと見られる柱穴跡や、長方形に区画された遺構も見つかっています。これらの遺構は、祭祀など、ムラの行事に使用されていたと推定されています。円形に配置された掘立柱建物遺構群の外側からは、子供の墓と思われる埋甕（土器埋設遺構）が多数検出されています。

遺跡の保存と活用

宮畑遺跡は、当初工業団地開発のために発掘調査されていました。しかし、1998年に大型柱穴が検出されたことがマスコミで報道され、注目を集めるようになりました。その重要性が認められ、2003年に国の史跡に指定されました。福島市は遺跡の保存を決定し、史跡公園としての整備を進めています。2007年8月には、宮畑遺跡史跡公園（仮称）の愛称が「じょーもぴあ宮畑」に決定しました。毎年10月には、宮畑縄文まつりが開催され、多くの人々が縄文文化に触れる機会となっています。

2008年に福島市が伊達郡飯野町を編入したことにより、福島市内に所在する国の史跡指定を受けた縄文時代の遺跡は、宮畑遺跡と和台遺跡の2件となりました。

宮畑遺跡は、縄文時代の文化や生活を知る上で非常に貴重な遺跡であり、史跡公園としての整備を通じて、その価値が広く伝えられています。

もう一度検索