宮野彬

宮野彬（みやの あきら）

日本の刑法学者であり、安楽死問題や刑事裁判の報道に関する研究で知られる宮野彬（1933年10月25日 - 2020年2月13日）について解説します。

人物

東京に生まれた宮野彬は、東京大学大学院法学研究科にて刑法を専攻し、博士課程を中退しました。その後、鹿児島大学で助教授として教鞭を執り、後に明治学院大学の教授に就任。2003年に定年退職し、名誉教授となりました。

宮野の研究は、刑法の分野にとどまらず、社会における倫理的な問題やメディアの影響にまで及びました。特に、安楽死の問題については、人間の尊厳や自己決定権といった観点から深く考察し、著書を通じて広く社会に問題を提起しました。また、刑事裁判の報道に関する研究では、情報公開のあり方やプライバシー保護の重要性について議論を展開しました。

研究内容

安楽死問題

宮野は、安楽死を単なる法的問題として捉えるのではなく、個人の尊厳や自己決定権、そして社会全体の倫理観に関わる問題として深く掘り下げました。著書を通じて、安楽死の合法化や制度設計に関する議論を活発化させ、社会的な関心を高めることに貢献しました。

刑事裁判の報道

刑事裁判の報道が、公正な裁判の実現や国民の知る権利にどのように影響するかを研究しました。裁判の公開原則とプライバシー保護のバランス、報道の自由と責任といった問題を提起し、メディアの役割について再考を促しました。

著書

宮野彬は、数多くの著書を通じて、その研究成果を社会に還元しました。以下に代表的な著書を挙げます。

『安楽死 人間に"死ぬ権利"はあるか』(日経新書) 日本経済新聞社, 1976
『安楽死から尊厳死へ』弘文堂, 1984
『犯罪の現代史 犯罪白書の分析から』三嶺書房, 1986
『日本の刑事裁判』三嶺書房, 1987
『刑法の社会学』三嶺書房, 1989
『刑事和解と刑事仲裁』信山社出版, 1990
『裁判のテレビ中継を』近代文芸社, 1993
『揺れる絞首刑台』近代文芸社, 1994
『オランダの安楽死政策 カナダとの比較』成文堂, 1997
『刑事法廷でのビデオテープ』成文堂, 1999
『刑事法廷のカメラ取材 アメリカの規制緩和プロセス』信山社出版, 2001
『刑事裁判のテレビ報道 ガイドラインと実験的試み』信山社出版, 2001

これらの著書は、刑法学の研究者だけでなく、一般の読者にとっても、現代社会における重要な問題を考える上で貴重な資料となっています。

宮野彬の学術的な業績は、日本の刑法学の発展に大きく貢献しました。彼の研究は、現代社会が抱える倫理的、法的な問題に対する理解を深め、より良い社会の実現に向けた議論を促進するものとして、今後も重要な意義を持ち続けるでしょう。

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