家入一真

日本の連続起業家（シリアル・アントレプレナー）、実業家、投資家。1978年 12月28日生まれ。

生い立ちと初期キャリア

中学2年生の時、いじめを理由に自宅に閉じこもる時期を経験。その後、大学入学資格検定に合格し、地元の美術大学にも合格するが、そこへ進むことはなかった。芸術系大学や美術大学の受験準備を行う予備校である美術研究所画塾で学びを深めた。

美術予備校卒業後、デザイン会社に入社。そこでウェブサイトのデザインに興味を持つようになり、ウェブデザインに必要な技術的な知識を習得するため、コンピュータのシステム会社に転職した。技術を身につけた後、株式会社paperboy&co.（現GMOペパボ）を創業。わずか29歳という若さで、同社をジャスダック市場へ上場させた。

連続起業家としての活動

GMOペパボの代表取締役社長を退任した後も、家入は精力的に新たな事業を手がける連続起業家として活動を続ける。特に、クラウドファンディングプラットフォームを運営する株式会社CAMPFIREの創業者であり、現在も代表取締役を務めている。また、株式会社ScareCrow（現playwith partners）、株式会社イケニエ東京（現キメラ）、株式会社アマゾナスヴィダ、株式会社partyfactory、株式会社onelife、株式会社FIREX、株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL、Founder Foundy株式会社（現NOW）、株式会社エクソダス、スマートECプラットフォーム「BASE株式会社」の共同創業取締役、カフェのプロデュース・運営を行うpartycompany Inc.代表取締役、スタートアップベンチャーへの投資を行うNOW代表取締役など、多岐にわたる業種のベンチャー企業の立ち上げや経営に参画している。

社会貢献と哲学

家入は、インターネット上のサービスだけでなく、現実世界における「人の集まる場」の創出にも力を入れている。その一例が、現代の若者たちが抱える悩みを共有し、互いを支え合う「駆け込み寺」としての役割を担うシェアハウス「リバ邸」である。リバ邸は全国に展開され、多くの若者に居場所を提供している。個人的な信仰として、浄土真宗の開祖である親鸞に深く傾倒しており、得度もしている。

studygiftを巡る問題

2012年5月、家入はブロガーのヨシナガと共同で、学費支援プラットフォーム「studygift」を立ち上げた。このプロジェクトは「誰にいくら渡るか不明瞭な従来の寄付ではなく、共感した個人を直接支援できるプラットフォーム」という理念を掲げていた。

しかし、サービス開始直後、ある早稲田大学の女子学生への支援募集が問題となった。この学生は、家入に対し「成績不振で奨学金が打ち切られ、大学に通えなくなった」と説明し、家入はその言葉を信じて学費支援を呼びかけた。サイト上でも当初、「学費が払えず学校に行けない」と掲載されていた。

サービス開始からわずか55時間で目標金額を達成したが、その後、早稲田大学とstudygift運営側が直接話し合った結果、学生が既に大学を退学していた事実が判明した。この事実や、再入学が却下された場合の対応について、支援者への説明が不十分であったことが指摘された。弁護士の太田真也は、特に再入学の可能性が低いと判明した後も支援募集を続けた点を問題視した。運営者のヨシナガは、説明不足を認めるコメントを発表した。

事態を受けて、家入はメディアや支援者からの質問全てに応じるなど、問題の収束に尽力した。結局、集まった支援金は全額返金されることになった。その後、studygiftは学生の選考プロセスを厳格化するなど改善を図ったが、サイトは後に閉鎖された。2019年には「studygiftの再挑戦」として、新たな形で学費支援に取り組む意向を示している。

政治活動

2014年には、東京都知事選挙に立候補した。従来の選挙運動とは異なる、インターネットを活用した選挙活動を試み、供託金300万円もクラウドファンディングで集めた。当初は街頭演説や選挙事務所を持たず、ツイキャスなどのネット配信を中心に、政策もTwitterで公募するなど、インターネット中心の活動を展開した。選挙期間中に事務所を設置し街頭にも立ったが、ネット中心のスタイルを広げる形であった。結果は88,936票を獲得し、16人中5位で落選した。

都知事選後、2014年 2月10日には新しい政治団体「インターネッ党」の立ち上げを表明した。2020年までに東京23区すべての区長選挙に候補者を擁立することを目標としていたが、実際には候補者を立てることなく活動を停止している。この団体には、堀江貴文や田村淳、堀潤、安藤美冬、宇野常寛といった著名人が賛同者として名を連ねていた。

人物とその他の活動

私生活では、エッセイストの紫原明子と結婚し一男一女をもうけたが後に離婚。その後、2016年に元DJのサオリリスと再婚し子供を授かっている。

個人的な活動として、ウェブサービス「ブクログ」などの開発も手掛けており、これらは後にGMOペパボの正式な運営サービスとなった。

受賞歴

2007年：第5回Webクリエーション・アウォード Web人賞
2007年：第1回アソシエイトコンテストベストアソシエイト大賞（WEB本棚サービス「ブクログ」）
2020年：Forbes日本の起業家ランキング2020 第3位

著書

『こんな僕でも社長になれた』（ワニブックス、2007年 / イースト・プレス、2012年新装版）
『もっと自由に働きたい= Live in liberty とことん自分に正直に生きろ。（U25シリーズ）』（ディスカヴァー・トゥエンティワン、2012年）
『お金が教えてくれることマイクロ起業で自由に生きる』大和書房 2013
『15歳から、社長になれる。ぼくらの時代の起業入門 (よりみちパン! セ)』（イースト・プレス、2013年）
『バカ、アホ、ドジ、マヌケの成功者』（サンクチュアリ・パブリッシング、2013年）
『世界が変わる時、変えるのは僕らの世代でありたい。』NORTH VILLAGE 2014
『ぼくらの未来のつくりかた』双葉社 2014
『我が逃走』（平凡社、2015年5月）
『さよならインターネットまもなく消えるその「輪郭」について』中公新書ラクレ 2016
『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』ディスカヴァー・トゥエンティワン 2017

共著

『ぜんぜん気にしない技術』森田正康共著（クロスメディア・パブリッシング、2013年12月）
* 『絶望手帖』発案絶望名言委員会編集青幻舎 2016

もう一度検索