家庭の事情 馬ッ鹿じゃなかろかの巻

映画『家庭の事情 馬ッ鹿じゃなかろかの巻』

概要

1954年3月17日、東宝系で公開されたこの映画は、モノクロのスタンダード映画で、宝塚映画の一作品です。「家庭の事情」シリーズの第1作目であり、当時の人気ヴォードヴィリアン、トニー谷が主演を務めました。この作品は1950年代の住宅難という社会的な背景を風刺した内容で、主人公が恋人との一緒に暮らす家を探す姿が笑いを誘います。その特異なシーンとして後半に「家の中を電車が通る」という場面があることで、日本の喜劇史上でも特に注目されています。

この映画は、1982年にTBS系列で放送された『月曜ロードショー』の特集で紹介されてから広く知られるようになり、2000年代に入ってからはCS放送での再放送も行われました。また、本作でデビューした重山規子は後に『お姐ちゃんシリーズ』で常連キャストとなります。ビデオソフト化もされた本作は、続編とともにVHS形式でリリースされましたが、現在は廃盤となっています。

ストーリー

物語は、住宅ローン会社「立町月賦建設」のセールスマンである戸仁井谷夫が主人公です。彼は同僚のOL・春子と恋に落ち、結婚を望んでいますが、当時の住宅難が障害となり、2人が単独で住める家が見つかりません。戸仁井は恋敵である相良の存在にも悩まされながら、刺激的な日々を送っています。

ある日、帰り道の電車内で戸仁井は女性から財布を掏るスリを目撃し、その女性に警告をしますが、その女性が実はスリの仲間であることに気づきません。結果、戸仁井はスリに身包みを剥がされ、ランニング姿で追いかける羽目に。彼は偶然にもマラソン大会に参加し、優勝することで「家具付き一戸建て住宅」を獲得することになります。ついに理想の住まいを手に入れたのです。

しかし、新居に入ると次々とトラブルが待ち受けていました。家には見知らぬ人々が集まり、実は近所の団地の住人たちが、早井電鉄による立ち退きを求めるために集まっていたのです。しかも、スリたちはこの一帯を狙う地上げヤクザだったことが判明し、戸仁井夫妻は窮地に立たされます。戸仁井はアイデアを思いつき、最終的に鉄道が開通する時がやってきました。

ただ、その家の真ん中を通る鉄道の仕組みに戸仁井は驚愕します。彼は運転手になり、自宅で電車を止めることを決意します。運賃を支払った客に対して、今までの嫌がらせに対する仕返しだと傲然とした態度を見せ、春子は弁当まで売ることに。こうして夫婦の日常は新たな局面を迎えるのです。

スタッフ・出演者

本作の原作は三木鮎郎によるもので、脚本は賀集院太郎、監督は小田基義が務めました。主要なキャストにはトニー谷を始め、伊吹友木子、重山規子、千葉信男などが名を連ねています。

主題歌

「馬鹿ぢゃなかろか」という主題歌は、宮川哲夫作詞、吉田正作曲の作品で、トニー谷が歌っています。この歌は映画の雰囲気を一層引き立てる存在となっています。

放送と再評価

その後、2004年と2006年にはCS放送で再放送され、徐々に新しい世代にも知られるようになりました。本作は日本の笑いの伝統の一部として、今もなお多くの人々の心に残る作品として親しまれています。

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