家族の肖像 (さだまさしのアルバム)

アルバム「家族の肖像」について

「家族の肖像」は、シンガーソングライターのさだまさしが1991年7月25日にリリースした17枚目のオリジナルアルバムです。このアルバムはタイトル通り家族をテーマにしており、さまざまな人生の局面を描写した曲を収録しています。さだは、家族という存在を四季に例えながら、日常生活の中で見えにくい愛の姿を探求しています。

アルバムのテーマと収録曲

春

「春」は、失われた恋を償う思いが込められています。この曲では、新たに訪れた恋の春を通じて、今度は幸せな結末を迎えようと決意する男の心情が表現されています。

ハックルベリーの友達

この曲では、さだ自身が幼少期に愛読した『トム・ソーヤーの冒険』からインスパイアを受けており、登場人物ハックルベリーを通して子供たちの感性や約束の大切さを語っています。特に「Huckleberry Friends Forever」というフレーズを歌う際に、さだはマウイ島の子供たちと協力して感情を伝えました。

ヨシムラ

「ヨシムラ」は、さだの弟との思い出や、彼が抱えるさまざまな恐れを描写しています。この曲は、さだの心に残る幼少期と大人になってからの思い出の間にある溝を表現しています。

神様のくれた5分

少しのことから昔の恋を懐かしむ女性をテーマにしたこの曲は、日常に潜む思い出を感じることができるようなバラードです。

猫に鈴

さだが亡き従兄のために捧げた「猫に鈴」では、彼が好んだザ・ビーチ・ボーイズをイメージして、鎮魂と追憶の両方の意味を持つ曲を制作しました。この曲には、彼に対するさだの深い思いやりが込められています。

October 〜リリー・カサブランカ〜

10月の静かな雰囲気に合わせて、男性が昔の恋を思い出す心境を描いています。さだはこの曲で、楽曲内での転調技法に挑戦しており、リリー・カサブランカというユリの品種も象徴的に用いています。

秋の虹

この曲は、花嫁の母の立場から娘の幸せを願う内容となっており、そのモデルにはさだの妹と母がいます。特に、さだはこの楽曲を通じて家族の絆の大切さを表現しています。

戦友会

さだの父をモデルにして作られた「戦友会」は、戦争の重要性やその教訓について語る曲です。さだは、戦争を美化するのではなく、過去の出来事から学び、未来に伝えていく理念を強調しています。

秘恋

この曲では、幼少期に亡くなった祖母の秘めた恋を思い起こすさだの視点が描かれています。

奇跡 〜大きな愛のように〜

トヨタ・カローラのCMに用いられたこの曲では、「愛」というテーマが人々の間にある大きな奇跡として賛美されており、聴く人に強い印象を与えます。

参加ミュージシャンと制作

このアルバムの編曲には服部隆之が手がけた曲が多く、また渡辺俊幸といった他の名手も参加しています。ギターやピアノ、ドラムスなど、数多くのミュージシャンが協力し、作品の完成度を高めました。ジャケットデザインには与勇輝が参加し、視覚的にも魅力的なものに仕上がっています。

このアルバムは、さだまさしの深い感受性と家族に対する愛情を感じ取ることのできる作品であり、多くの人々に共感を与える内容となっています。

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