家禽コレラ
家禽コレラ（Fowl Cholera）
家禽コレラとは、主に鳥類に感染する病気で、原因菌であるPasteurella multocidaがもたらします。この病気は、日本では法定伝染病として位置付けられており、特にニワトリ、アヒル、ウズラ、シチメンチョウなどが感染の対象となっています。家禽コレラは、感染が確認された場合、死亡率が70%以上に達する厄介な病気であるため、特別な注意が必要です。日本国内では発生が見られますが、法的な処置が取られたことはありません。
原因
Pasteurella multocidaは、グラム陰性の無芽胞通性嫌気性短桿菌で、寒天培地上ではムコイド集落を形成する特性があります。この菌は、主に気道や皮膚を通じて感染することが知られています。
症状
家禽コレラに感染した場合、一般的な症状としては、発熱、下痢、呼吸困難、肉垂や肉冠のチアノーゼが見られます。急性型の場合、感染後に数時間で死に至ることもあり、発症からわずか2～3日で死亡することが非常に多いです。急性敗血症を耐えた場合、病状は慢性型に移行することもありますが、回復の可能性もあります。
診断
診断にはメチレンブルー染色やギムザ染色を用いて小桿菌の観察を行います。また、血液寒天培地を利用して菌の分離も行われます。家禽コレラの診断に当たっては、ニューカッスル病や高病原性鳥インフルエンザとの鑑別が重要です。
治療
日本において家禽コレラは法定伝染病に指定されているため、感染が確認された場合には治療が行われず、感染した家禽は淘汰されます。これは、他の家禽への感染拡大を防ぐための厳しい措置です。
予防
家禽コレラの予防には、生ワクチンや不活化ワクチンが開発されていますが、日本国内では現状、ワクチンの使用が行われていません。予防策としては、感染のリスクを低減するための衛生管理や飼育環境の工夫が求められます。
関連項目
参考文献
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