容量性カップリング

容量性カップリングとは

容量性カップリング（キャパシティブカップリング）は、電気回路において、2点間の容量を介してエネルギーが伝達される現象です。この現象は、回路設計において意図的に利用されることもあれば、予期せぬ副作用として現れることもあります。意図的に利用する場合、前段の出力と後段の入力との間にコンデンサを直列に接続することで実現します。また、容量結合とも呼ばれます。

「合成容量」という用語は、複数のコンデンサを直列または並列に接続した際の総容量を指しますが、容量性カップリングとは異なる概念であるため注意が必要です。

アナログ回路における容量性カップリング

アナログ回路において、容量性カップリングは、交流（AC）信号は通過させ、直流（DC）信号は遮断するという特性を利用します。これにより、異なる回路間のDCバイアス設定を分離できます。この目的で使用されるコンデンサは、カップリングコンデンサまたはDCブロッキングコンデンサと呼ばれます。また、容量性カップリングはACカップリングとも呼ばれます。

容量性カップリングの特性として、高周波の交流信号はより通過しやすく、低周波の交流信号は減衰させます。カップリングコンデンサは、後段の入力インピーダンスと組み合わさることでハイパスフィルタを構成します。そのため、後段に複数のフィルタが接続される場合、単独で使用する場合よりも高いデシベル値が得られます。

低周波信号への適切な応答を得るためには、使用するコンデンサの容量を十分に大きくする必要があります。また、後段のインピーダンスが低いほど、より大きな容量が必要になります。例えば、スピーカーを駆動するアンプの出力コンデンサでは、スピーカーのインピーダンスが低いため、大容量のコンデンサが用いられます。目安としては、必要な最低周波数で電圧が半分になるように回路定数を決定します。

容量性カップリングの欠点は、直流結合設計によって回避できますが、直流結合設計は複雑になりがちであるため、容量性カップリングが広く利用されています。

デジタル回路における容量性カップリング

デジタル回路では、HレベルとLレベルが偏りなく符号化された信号を、直流的な偏りなく伝達する目的で容量性カップリングが使用されます。これにより、信号の直流成分を遮断し、交流成分のみを伝達できます。

小電力電源回路への応用

小電力機器の電源回路において、トランスの代わりに大容量のコンデンサを利用してトランスレス電源を構成する例があります。これは、電源回路の小型化や軽量化に貢献します。

寄生的な容量性カップリング

容量性カップリングは、意図せず発生することがあります。例えば、隣り合う導線間やプリントパターン間などで、数pF程度の容量性カップリングが生じることがあります。この寄生的な容量結合は、ノイズの原因となることがあります。

寄生的な容量性カップリングを低減するために、導線やプリントパターン間の間隔を広くしたり、影響を及ぼす可能性のある信号の間にグランドラインやグランド面を配置したりすることがあります。ブレッドボードは、金属片が並んだ構造により寄生容量を生じやすく、特に問題となることがあります。高周波や高ゲインのアナログ回路のプロトタイプを作成する際には、回路をグランド面上に構築することで、相互のカップリングよりもグランドとの間のカップリングが大きくなるように工夫することがあります。

ハイゲインアンプの出力が入力と容量性結合すると、発振器として動作することがあります。

まとめ

容量性カップリングは、電気回路において重要な役割を果たすとともに、意図せぬ影響をもたらす可能性もあります。回路設計においては、容量性カップリングの特性を理解し、適切に対処することが重要です。

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