富士総合火力演習

富士総合火力演習

富士総合火力演習（ふじそうごうかりょくえんしゅう）は、陸上自衛隊が行う大規模な演習で、静岡県御殿場市にある東富士演習場の畑岡地区にて実施されます。一般的に総火演（そうかえん）と略され、英語では「Fuji Firepower Review」または「Fuji Firepower Exercise」と表記されます。この演習は1961年にスタートし、当初は自衛隊の火力戦闘を理解させる教育の一環として行われましたが、1966年からは一般公開されるようになり、国内で最大級の実弾射撃演習として知られるようになりました。

実施目的と内容

この演習の主な目的は、隊員の戦技向上や育成、日本の防衛力に対する国民の理解を促進することです。しかし、国外に対する軍事的なプレゼンスを示すことも含まれており、在日米軍や各国の駐在武官も招待されるなど、国際的な交流の場ともなっています。演習は通常、7月に準備が始まり、8月に約1か月かけて実施され、その後展示演習が行われます。

公開演習には防衛大臣が出席することも多く、軍関係者のほか、自衛隊員の家族も招待されるなど、幅広い層が参加する機会があります。実際に目の前で実弾射撃を観覧することができるため、多くの来場者の関心を集めています。最近の例では、令和元年度には約2万9,000人が来場しました。

2020年度には東京オリンピックの影響でスケジュールが変更され、一般公開は中止されたものの、インターネットを通じた配信が行われました。このような状況は、2023年度以降も続く見込みです。

演習プログラム構成

富士総合火力演習は主に前段演習と後段演習の2部構成で行われます。前段演習では、陸上自衛隊の主要装備品が紹介され、後段演習では、実際の戦闘状況を模した演示が行われます。後段演習では、異なる自衛隊の部隊が協力し、シナリオに基づいて島嶼部を防衛する様子が展示されることが多く、これにより国民への防衛力の理解を深めることを目指しています。

演習中は視覚的な要素や音楽隊の演奏が取り入れられ、情熱的な雰囲気が演出されます。演習終了後には装備品の展示も行われ、一般の人々が自衛隊の機器に触れる機会が設けられます。

夜間演習

夜間演習についても行われており、一般公開はされていませんが、一部の関係者による見学が可能な場合もあります。これらの演習では、暗視装置を用いた射撃や爆発物の点灯を利用して視認性を高めた演出が行われます。特に、曳光弾を使用した射撃が行われ、迫力ある展開が観覧を楽しむ人々に深い印象を残しています。

一般公募と映像配信

公開演習の観覧は防衛省のサイトから応募が必要で、抽選によって選ばれた人のみが参加できます。このため、観覧希望者の間には高い倍率がかかることも特徴です。また、演習の模様は陸上自衛隊の公式チャンネルを通じて生中継や録画配信がされており、遠方にいる人々や興味があるが現地に行けない人々にとっても貴重な視聴機会が提供されています。

安全対策

演習は安全が重視されていますが、その一方で過去には事故も報告されています。安全対策をさらに強化するために、演習前にはフィールドの清掃が行われ、観覧者の安全が確保されるよう努めています。これらの取り組みを通じて、富士総合火力演習は今後も地域との交流や国民への理解促進を続けることでしょう。

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