富士見町米野

富士見町米野（ふじみまちこめの）は、群馬県前橋市に属する地域名である。かつて勢多郡富士見村に属していた時期には、大字米野として知られていた地域であり、前橋市への編入合併を経て、現在では他の旧村域と同様に、「前橋市富士見町」に旧大字名が続く形式となっている。2013年時点での面積は約2.39平方キロメートル。郵便番号は371-0111である。

地理的には、雄大な赤城山の南西斜面に広がる裾野の一部を占めている。その領域は、二つの主要な河川、すなわち橘川と法華沢川によって東西から挟まれるような形で位置している。具体的には、橘川が地域の西側の境界を形成しながら北から南へと流れ下り、同様に法華沢川が東側の境界を形成して北から南へと流下している。

この地域は、比較的古い歴史を持っており、地名としては江戸時代頃には既に存在していたとされる。寛永12年（1635年）以降は、前橋藩の領地として治められていた記録が残っている。歴史上の特筆すべき事象としては、かつて「米野並木」と呼ばれる美しい並木道が存在したことが挙げられる。この並木は、当地域の北端から現在の富士見町山口にあたる山口村の入口に至る南北約8町（約870メートル）の区間と、南端から現在の田口町にあたる田口村へ至る約3町（約330メートル）の街道の両側に植えられていた。しかし、第二次世界大戦中にすべて伐採されてしまい、残念ながら現在その名残を見ることはできない。

行政区画の変遷も多岐にわたる。明治期に入り、1881年（明治14年）には大火に見舞われ、かつての宿場の大部分が焼失するという大きな被害を受けた。近代的な市町村制度が施行された1889年（明治22年）には、米野村は近隣の13村と合併し、南勢多郡富士見村が誕生した。これにより、米野の地域は群馬県南勢多郡富士見村の大字米野となった。その後、1896年（明治29年）に行われた東群馬郡と南勢多郡の統合により勢多郡が成立したため、勢多郡富士見村大字米野と名称が変更された。そして、平成の大合併の流れの中で、2009年（平成21年）に富士見村が前橋市へ編入合併されたことにより、現在の群馬県前橋市富士見町米野という地名になった。

比較的新しい動きとしては、2017年（平成29年）5月12日に、当地域全域を含む前橋・赤城地域が、スローシティを推進する国際的な組織であるチッタスロー国際連盟に加盟したことが挙げられる。

交通網に関しては、町域内に鉄道路線および駅は存在しない。公共交通機関としては、関越交通によって運行されているデマンドバス方式の「るんるんバス」が利用可能であり、地域住民の移動手段として機能している。主要な道路としては、地域の中央部を東西方向に貫く群馬県道34号渋川大胡線と、同じく中央部を南北に縦断する群馬県道151号津久田停車場前橋線が交差しており、地域内外を結ぶ交通の要衝を形成している。

地域内に所在する主な施設としては、赤城神社や大聖寺といった宗教施設がある。

災害発生時における避難所としては、当地域が避難対象区域に指定された場合、町内にある前橋市立原小学校が指定避難所となっている。

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